学長告辞

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2013(平成25)年度 学位記授与式における学長告辞

 皆さん、ご卒業おめでとうございます。心より祝福いたします。 「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山際、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」という一句を聞いた覚えがあると思います。平安時代の女流文学者、清少納言の『枕草子』の冒頭の有名な一句です。続いて、「夏は夜・・・。秋は夕暮れ・・・。冬はつとめて・・・。」と、春夏秋冬の際立った特徴を綴っていきます。皆さんは受験勉強で、「鳴くよ(794)鶯、平安京」と奈良から京都への遷都の年号を暗記しませんでしたか?清少納言は今から千二百年前の人です。私たちが実感するように日本の四季は格別に美しく、日本人の感性は平安時代から現代まで悠久の時を刻んで脈々と引き継がれてきています。

 言うまでもなく春夏秋冬は春に始まりまた春に戻ります。想えば皆さんたちは4年前の春に熊本学園大学に入学し、また4年目の春に大学を去ろうとしています。皆さんは最高学府と言われる大学教育を完了し、学位記を授与された今日のこの時に誇りと自負をもってください。
 熊本では4年制大学の進学率は37%です。大学進学の希望がかなわなかった多くのの同世代の若者がいるということです。労働経済学者の実証研究によると4年生大学卒業生は企業に入って昇進や雇用形態で有利な立場をえているとのことです。皆さんは大学に進学できた幸運を思い、大学進学を物心両面から支えてくれたご両親をはじめ家族の皆さんにまずもって感謝の気持ちを捧げてください。

 皆さんはこれから経済的にも、精神的にも自立することが求められます。その覚悟はできていると思います。とは言え、社会人としての生活は言わば未知の世界です。これからの新たな人生への旅立ちに期待と抱負を秘めているとは思いますが、皆さんの脳裏には、胸深くには、一抹の不安がないはずはありません。皆さんが自覚している以上に、皆さんが大学で学んだ知識、教養、実務、スキル、様々な体験のすべては社会に出ての皆さんの、仕事に、生き方に、役立つことを確信しています。

 3月に入ってからは、私は、熊本学園大学を去る皆さんにどのような最後のメッセージを伝えるかと言うことに頭を悩ませます。私達は世界中の情報が一瞬にして伝達される情報化社会のただ中にいます。耳目を驚かすことが次から次と生起します。今日は直近の話題を素材にして最後の短い講義にしたいと思います。
 シリアの内戦、イランの核問題、クリミア自治共和国のロシアへの編入、等々、深刻な国際問題が後を絶ちません。このような国際問題を理解し、評価するためには世界史、国際政治などの教養と知識が不可欠です。しかし、深刻な国際問題は国連安全保障理事会でも常任理事国の大国がしばしば拒否権を発動し、問題の全面的解決にいたることはほとんどありません。残念ながら知性、理性は深刻で、複雑な国際問題を解決できるほどには普遍的力はありません。
 他方、拉致された横田めぐみさんのご両親が孫娘のキム・ウンギョンさんと曾孫の赤ちゃんとモンゴルで会われ、短い時間とは言え、ひと時を過ごされました。拉致問題自体は根本的解決には程遠いのですが、このニュースを聞いて、わがことのようによかったと思った人も多かったのではないでしょうか。このことを妻と語り合おうとしたら互いに胸がいっぱいになって言葉になりませんでした。  私達が共有できる喜怒哀楽の感情は普遍的です。私達は『枕草子』の冒頭の句にはるか千二百年の時空を超えて平安時代の日本人の感情に共感することができるのです。

 京都学派を代表する著名な哲学者、三木清の『人生論ノート』に次のような一文があります。
 「感情は主観的で知性は客観的であるという普通の見解には誤謬がある。むしろその逆が一層真理に近い。感情は多くの場合客観的なもの、社会化されたものであり、知性こそ主観的なもの、人格的なものである。真に主観的な感情は知性的である。」
 大学の卒業式の最後の短い講義ではありますが、私はあえて逆説的な「知性こそ主観的なもの、人格的なものである。真に主観的な感情は知性的である。」と言う三木清の含蓄深い言葉を講義の主旨とします。
 皆さんは卒業後も終生、生涯、教養を高め知性を磨いてください。しかし、それにもまして、芸術に親しみ、自然を称揚し、豊かな感情を育んでください。共通の絆はここにこそ結ばれると思います。

 最後に去年の告辞でも紹介しましたが、岡山ノートルダム清心学園理事長の渡辺和子先生の『置かれた場所で咲きなさい』という本の一文を今年も、激励の言葉として贈りたいと思います。
 「置かれた場所に不平不満を持ち、他人の出方で幸せになったり不幸せになったりしては、環境の奴隷でしかない。人間と生まれたからには、どんなところに置かれても、そこで環境の主人となり、自分の花を咲かせようと決心することです・・・どうしても、咲けない時には、無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために」

 順風万帆な人生はありえません。皆さんは「置かれた場所で咲きなさい」という言葉を人生の折々の岐路で思い出してください。皆さんのこれからの人生に幸多からんことを祈念して告辞とします。

2014(平成26)年3月24日
熊本学園大学学長 岡本悳也

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