差別と人権に関する講演会を開催しました

2018.06.29

 6月29日(金)、1412教室で「差別と人権に関する講演会」を開催しました。講師に、教育行財政研究所主宰で専修大学非常勤講師の中村文夫氏を迎え、「子どもの貧困と教育の無償化」をテーマに講演が行われました。この講演会は、本学の「差別と人権に関する専門委員会」が、人権問題およびハラスメント防止に向けた啓蒙活動として、教職員・学生を対象に年2回実施しているもの。

 講演会は、第一部の学生を対象とした4時限目と、第二部の学生を対象とした前時限の2回行われ、学生・教職員など合わせて約140名が聴講しました。

  中村氏は、熊本県における子どもの貧困率(18歳未満の末子がいる世帯のうち、最低生活費以下の収入しか得ていない世帯の割合)が、1992年の7.9%から2012年の17.2%と、10年間で9.3%も上昇したことに懸念を示したうえで、『子どもの貧困は保護者世帯の貧困』とし、保護者の貧困が子どもの教育に与えるさまざまな影響について解説。「義務教育の無償化といっても、通学経費、補助教材費、修学旅行費など、授業料以外で保護者に求められる負担は大きい。その中でも半分近くを占めているのが給食費で、無償化もしくは安価化するなどの取り組みが必要」と話しました。

 また、全国的に話題となり国会でも取り上げられた、銀座の公立小学校が有名ブランドの制服を導入した事例をあげ、「一方で、九州のとある公立中学校では制服費を払えず入学式に出席できなかったという報告もある。同じ公立学校でもこのように大きな格差が生じている」と指摘。続けて、経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒の保護者等に対して、自治体が就学に必要な費用を援助する就学援助制度について、「支給時期が遅い、高校生に対しては制度がない、など課題は多い。ひとつひとつステップアップしながら改善していくことが大事」と訴えました。

 最後に、「たくさんの社会的な不平等、理不尽がある中で、みなさんにはパブリックな夢を抱いて勉強し、行動していただくことを期待しています」と語りかけ、講演を締めくくりました。

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