学長メッセージ

細江 守紀
熊本学園大学 学長
Moriki Hosoe

大学院で学ぶということは

 大学院に進学された皆様おめでとうございます。大学院に来られる動機は様々にあると思います。資格試験を受けるために入った人もいれば、研究を目的として入った人もいるでしょう。また、いったん社会に出たけれどやり残したことがあると思って大学院に入った人もいます。資格試験について言えば、本学では九州で唯一の会計専門職大学院があり、極めて社会的に評価の高い大学院です。会計専門職大学院は皆同じ目標をもって勉学に励み、院生同士が励ましあって、また、競いあっていきます。日ごろから小テストがあり、自分の得手と不得手がはっきりするので、つぎに何を勉強すべきなのかがわかります。九州のいくつかの法科大学院で隣接科目の「法と経済学」を教えた経験でいえば、資格を得ようと共通の目標をもった院生たちのすばらしい目の輝きが印象的でした。

 一方、資格試験以外で入学した院生の場合は、多くて3,4名の院生と先生が対峙するのが普通です。私が大学院に入ったのは随分昔のことなので参考になるかどうかわかりませんが、一番記憶に残っているのは、社会の多数の同年代の人たちと違ったコースを歩んでいるという意識でした。学部の友人たちはすでに就職してときどき会うと随分羽振りがよく見えたものでした。友人たちは私をまるで修道院にでも入ったような目でみていたことを覚えています。それでも少数の院生と先生の指導のもと週一回のペースであるテーマの書物や論文を読んでいくと、なにかの魔術にでもかけられたような高揚感を味わったものでした。

 現在はほとんどの修士課程でコースワークがあるので、同じ分野でない院生とも同じ部屋で講義を受けるスタイルになって、修士課程で体系的な基礎知識と一定水準の分析能力が習得されます。コースワークにおいては自分のやりたいことと一致していればよいが、そうでなければ学習意欲を高めるのは大変かもしれません。
 いずれにしても、どのような形にせよ大学院に進学することは人生で独特の期間を過ごすことになることは確実で、いま思い返すと無心にそしてひたすらやりたいことに打ち込める大変貴重な時間であったように思います。皆さんも“いまがそうなんだ”と認識して研究に励んでください。