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移築・復元について

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産業資料館
産業資料館

解体前の電気室と鬼瓦

写真は、解体する前の電気室の外観です。移築したのは、全面と側面の壁2面と屋根部分。旧熊本紡績電気室の屋根は移築前は鉄板屋根でしたが、移築に際し元の瓦屋根に復元しました。「熊」の文字が入った鬼瓦は、熊本紡績(株)時代以来、旧原綿倉庫の屋根瓦として1世紀以上の歴史を刻んできたものです。

塵突
▲解体前の塵突
蒸気ベル
▲移築後の蒸気ベル

塵突・蒸気ベル(鉄鈴)

塵突は、紡績工場特有の綿埃を室外へ排出するための設備です。蒸気ベルは、大正14(1925)年、鐘紡(株)時代に紡績工場の塵突に取り付けられたものです。1883年にイギリスに設立され、紡績機械や消火機器などを世界中に輸出したメイザー&プラット(Mather & Platt Ltd. Engineers)社製。創業者のメイザー卿(SirWilliam Mather)は後にマンチェスター工科大学の学長を務めました。現在は、産業資料館入口付近のコンクリート壁に取り付けています。

レンガ構造物の移築方法

 レンガ壁を運搬可能なブロック(ユニット)にカットし、現場で組み立て直す。さらに、現在の建築基準に適応した安全な構造とするため、復元したレンガ壁は、構造体コンクリートと一体化させた。
 基本的には、古い時代からの素材の質感をそのまま移築・再現することを大切にし、必要以上の装飾等を行わなかった。

作業手順

  1. 壁面を縦方向に切断
  2. 水平方向にネットを巻き付け、壁面上下をカット 
  3. 上下方向にネットを差し込み、ユニット廻りを枠で固定
  4. クレーンで吊り上げ地上に降ろす
  5. トラックに積み込み、荷締めした上で建築現場へ移動
  6. ユニットを1ピースづつ積み上げていく
    その際、安全のため周囲を鋼材で頑丈に補強・支持しながらの作業を行う
  7. 積み上がったレンガの壁を型枠の一部として構造体コンクリートを打設、互いを一体化させる

木小屋組及び野地板の移築方法

 既存の木小屋組の部材及び野地板は、丁寧に手作業で解体した後、再び同じように新しいレンガ壁の上に寸法を調整して組み立てた。その際、傷みの激しい部材については新しい木材と組み替え、塗装などで見た目が同じように調整した。
 レンガ壁と同じく、基本的には昔のままの古い素材の質感を重視するので、極力特別な手を加えなかった。

移築・復元後の外観

産業資料館

道沿いから見た写真です。
見えている赤れんが壁が移築したものです。

産業資料館

正面入口の写真です。

産業資料館

裏側の写真です。
コンクリート壁と組み合わせています。