教員
クマガクフォーカス KUMAGAKU
FOCUS
データに基づいた政策を立案する
経済学部
林田 実教授
Hayashida Minoru
長崎県出身。2023年に本学経済学部に着任。
専門分野はデータサイエンス、担当科目は経済データ分析など。
機械学習の隆盛
データサイエンス、ChatGPT、自動運転、将棋AIなどの言葉を聞かない日は一般の方々でもほとんど無くなってきたのではないでしょうか。また、ChatGPTを使ったことがある人であれば、質問に対する回答が人間の先生、しかも、かなり優秀な先生を連想して驚愕したこともあるでしょう。テスラの自動運転FSDバージョン12.3は完全自動運転の完成が近いことを確信させてくれます。このような一連の技術の背後には「機械学習」と呼ばれる一群の技術が控えています。
経済分析の世界にも機械学習が浸透してきた
経済の実証分析のなかにも、伝統的な計量経済学ではなく、機械学習の手法を使った研究が増えてきています。私自身も機械学習の一種であるCausal Forestという手法を使って、確定拠出型年金や少額投資非課税制度(NISA)といった課税優遇制度への加入・非加入行動を決定する要因について分析しています。Causal Forestによって金融教育の効果と、その効果の表れ方の異質性が測定できるようになりました。分析の結果から、金融教育の効果に異質性が表れれば、どのような属性の個人に金融教育を行うのが効率的であるのかについての知見が得られることになります。
事実を押さえたうえで議論できるようになろう
機械学習には膨大なデータと強力な計算機パワーが必要です。また、膨大なデータが持つ威力を人類は現在はじめて経験しつつあります。翻って、我々人間は議論するときに、事実に基づいた議論を行っているでしょうか?あなたの論旨は究極的にはあなたの「嗜好」に支配されてはいないでしょうか?この問いに対する私の回答は残念ながら「ほとんどの場合嗜好に左右されている」です。大学で学問を探求することによって、事実に基づく議論ができる人間になってもらいたいと思います。そして、そのような個人の総意としてさまざまな政策立案ができる社会になれば良いなと夢想します。
(2024年4月取材)
岩本 志希さん
経済学科3年
九州学院高等学校出身
林田先生の講義はココがおもしろい!
ゼミではプログラミングのPythonの学習と、経済データ分析を学んでいます。各自のパソコンを使って、先生がZoomで学習内容を共有しながら進めていきます。Pythonのコーディングを練習するなかで、エラーがなくスムーズに進められたときや、エラーが発生しても自力で解決できたときはとてもおもしろかったです。先生のご趣味は登山で、先生と有志のゼミ生で登山に行ったこともありますが、先生が一番体力があり、どんどん登って行かれるのには驚きました!
私の学問を支える名脇役
VAIO Z
2022年1月ごろに「自費」で購入したパソコン「VAIO Z」です。前任校の退職を数年後に控え、退職後の研究のために購入しました。プロセッサはi7-11390H@3.40GHzで、分かる人には分かるすぐれものです。
先生のもう一面
登山
山歩きが大好きで、シーズンになると毎週末のように山歩きを楽しんでいます。昨年登った山は、大船山、俵山、開聞岳、平治岳、高千穂峰など書ききれません。熊本は世界的に見ても自然が豊かで登山に適した山群が連なっています。ゼミの学生にも登山の楽しさを伝えたいと思います。
クマガク学園通信「銀杏並木」掲載号のご案内
このページの記事も掲載しているクマガクの学園通信。
大学の出来事や大学から今お伝えしたい事を特集しています。
バックナンバーもデジタルブックでご覧いただけます。