卒業生
クマガクフォーカス KUMAGAKU
FOCUS
「貴方のこれからが、貴方のこれまでを決める」を胸に、
地方銀行を代表する職に臨む
株式会社 熊本銀行
代表取締役頭取
株式会社 ふくおかフィナンシャルグループ
取締役執行役員
坂本 俊宏さん
Sakamoto Toshihiro
1987年3月
商学部 第一部商学科 卒業
1963年7月、熊本市生まれ。熊本県立第二高等学校出身。本学卒業後、1987年に株式会社熊本相互銀行(現・熊本銀行)に入行。2003年には、当時39歳という異例の若さで支店長となり、2018年に執行役員、2021年に取締役常務執行役員を経て、2024年4月に代表取締役頭取に就任する。
熊本で働くことを決断し
入学した熊本学園大学
熊本を代表する地方銀行の一つ、「熊本銀行」。2024年4月、この熊本銀行の代表取締役頭取に、本学商学科卒業生の坂本俊宏さんが就任した。1987年に新卒で入行後、卓越したコミュニケーション力と、自らも“強い”と語る上昇志向を武器に活躍し、着実にキャリアアップを重ねてきた。その活躍のルーツを辿ると、「学生時代の日々を思い出す」と坂本さんは振り返る。
高校卒業後、進学するなら県内の大学と決めていたという坂本さん。当時通っていた高校から熊本商科大学(現・熊本学園大学)へ進学する先輩も多く、かつ付属高等学校に友人も多かったことから、「私のなかでは大学といえばクマガクだ、というくらい身近な存在でしたね。自由で楽しそうな大学だと好印象を持っていました」と、坂本さんは語る。将来、社会で「商い」の学びが幅広くいかせるとの思いから、商学科への進学を志した。将来は熊本で働くことを望んでおり、県内の銀行・公務員・営業職などで活躍する卒業生が多かったことも理由の一つだった。
アルバイト三昧の
学生生活で得た多くの財産
大学時代は、会計・金融系の基礎も学んだが、「私にとってはやはり、アルバイトでの経験がとても大きい」と振り返る。結婚式場やコンビニなど、いろいろな業種を経験できたのは大学時代ならでは。社会への入口で、そこでどう振る舞うべきかを学んだという。「指示待ちではなく自分で考えて動くことで、物事がスムーズに進んでいく、そんな経験を重ねられたと思います」。見返りを求めず率先垂範して物事に取り組み、誠実に、他者を思いやりながら動く。そのような働きを繰り返すなかで、人と人とが円滑につながり信頼関係を築くことができるようなコミュニケーション力も鍛えられた。「どんな仕事でも、行き着くところは『コミュニケーションの大切さ』ですね。人に好かれるようなコミュニケーションで人間関係をうまく築くことの大事さとそのスキルは、大学時代に学び得られた大きな力だと思います」
入行直後の逆境をはね返し
当時、最年少の支店長に
就職活動時、実は坂本さんの第一志望は金融系ではなかった。「ツアーコンダクターの仕事に憧れていて、旅行会社に一旦、内定が決まっていたんです。ただ、当時の不景気のあおりを受けて内定が白紙になってしまって…」。そこで改めて何の仕事をしたいかを考えたとき、自身の生業にできる仕事として銀行を志し、熊本相互銀行の内定を勝ち得た。
ところが入行後、坂本さんは苦境に立たされることになる。入行すぐの6月に脊椎の病気を発症してしまい、2ヵ月半ほど入院することになったのだ。復帰後はリハビリを兼ねて人事部に配属。同期は各支店に配属され、現場の仕事を身につけている段階だった。新人研修もまともに受けておらず、同期から大きく出遅れた状態での銀行員生活のスタートとなったが、これが逆に坂本さんに火をつけた。「負けず嫌いな性格もあり、そこから本当に頑張りました」。遅れて支店勤務となった後、実務面の出遅れを挽回するべく、営業活動に精を出した坂本さん。ここで大学時代に培ったコミュニケーション力が発揮されることになる。「日常の活動に加えて、休みの日に普段着で取引先に顔を出すなど深くおつき合いができるようにと動き回りました。融資の場面でも、お客様の夢を何としても叶えたいと、何度もやり取りを重ねました。地域経済への貢献、ということの本質と魅力を、営業の仕事に尽力するなかで知ったように思います」。加えて実務面においても、上司や先輩に遠慮なく頻繁に相談し、「おうちゃっかなあ(生意気だなあ)」などと言われながらも可愛がられ、坂本さん自身も経験不足を先輩方の力を借りて補うことができたという。「銀行業はお金という『数字』を扱う仕事ではありますが、やはり根底にあるのは人と人との繋がり。お客様や上司に可愛がっていただけるようなコミュニケーション力を大学時代に身につけられていたことは大きな強みだと思います」。それ以降は着実に営業成績を積み上げていき、39歳のときには異例の若さで支店長に抜擢。当時、全国の銀行で一番若い支店長として、金融専門紙で紹介されたこともあった。
「職位がひとをつくる」
頭取にふさわしい働きをめざす
その後、同期のなかでも最速で昇進し続け、執行役員、取締役常務執行役員を経て、代表取締役頭取に就任した坂本さん。尊敬する先輩から贈られた「貴方のこれからが、貴方のこれまでを決める」という言葉の重みを胸に、大役に臨んでいるという。「『職位がひとをつくる』といいますが、正直私は、課長になったころから、昇格の度に自身の職位へのプレッシャーで震えていたのですよ。でも、その職位にふさわしい人でなければならないと走り続けた結果、その働きをきちんと見てくださっていた方がいて、今の役職へと導かれた感じです」と振り返る坂本さん。昇格の喜びよりもプレッシャーが大きいと語るが、現場からのたたき上げで獲得してきた人間力を武器に、さらに多くの人を巻き込みながら銀行を動かしていくことだろう。
「今、熊本県は世界的半導体企業の進出により大きな盛り上がりを見せており、積極的に設備投資などを行うお客様が増えています。一方、地元経済を支えているお客様のなかには人手不足や原価上昇分を価格転嫁できないなどの経営課題を抱えるところも多く見られます。前者のお客様には千載一遇のチャンスを掴むための支援を行いながら、後者のお客様には課題解決のための丁寧な金融支援を行っていきます。どちらに片寄ることなく両者をしっかりと支援し、地元経済を下支えすることが地域金融機関の重要な使命だと考えています。時にはお客様同士を繋ぎ、マーケット全体を俯瞰しながら、お客様の課題解決、夢の実現を支援し、経済的、物質的、精神的に豊かな地域社会づくりに貢献したいと思っています」
(2024年10月取材)
Memorial photo
頭取就任パーティ
総合企画部長時代に、ともに過ごした行員たちと
ロアッソ熊本の熊本銀行サンクスマッチでの集合写真
ふくおかフィナンシャルグループブランドキャラクター「ユーモ」との記念写真
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