卒業生

クマガクフォーカス KUMAGAKU
FOCUS

人材育成や地域活動を通して
同志とともに熊本の街に貢献する

株式会社MNHT取締役
一般社団法人 熊本青年会議所 第70代理事長
火の国サラマンダーズ 球団代表

野島 雄大さん

Nojima Takehiro

クマガク人物伝

2008年3月
商学部 商学科 卒業

1984年7月、熊本市生まれ。熊本学園大学付属高等学校出身。大学卒業後は起業しカフェ運営の後、2011年に家業である「有限会社 やま弥」に入社。2016年に社長就任。2021年に退任し、系列会社「株式会社MNHT」取締役に。2024年に「一般社団法人 熊本青年会議所」第70代理事長、さらにプロ野球チーム「火の国サラマンダーズ」球団代表に就任。

経営者であった父から
学んだ起業家精神

 熊本で働く20〜40歳の青年経済人が集い、社会貢献活動に臨む「熊本青年会議所(以下熊本JC)」。2024年度、その第70代理事長に本学商学科卒業生の野島雄大さんが就任した。熊本の街のために多方面で精力的に活躍する野島さんだが、実は学生時代から、良い意味での「学生らしからぬ」活動やビジネスへの嗅覚が注目される存在だった。

 ビル管理用品の商社を営む家に生まれた野島さん。高校時代はボート部で全国大会に5度出場するなどスポーツマンとして活躍する一方で、自身で洋服のブランドを作ってショップに納品するなどの活動も行っていた。「父が自ら会社を興して経営していたからか、小さいころから起業家精神やお金、商売に関することを教えられていたように思います」と野島さん。その見識を広げ、商業についてもっと専門的な知識をつけたいと、商学科への入学を志した。長男であり、いつか家業に役立てられるかもとの思いもあったという。

起業に、カメラマン育成も!?
規格外だった学生時代の活躍

 「それまでは肌感覚で学んでいた『商業』でしたが、改めて知識を身につけられたのがよかった。特に新しいビジネスを考える講座は役立ちました」と振り返る野島さん。一方で学ぶだけでは飽き足らず、個人的に会社を設立した。知人とともにタピオカ専門店「タピキング」を開業。タピオカドリンクが日本中で大流行する何年も前から熊本に定着させる存在となった。さらに、新ビジネスを考える講座で「空き別荘の活用法」について考案すると、教員から「面白い」と評価され、時には大学院の授業に呼ばれることもあったのだという。当時、本誌の学生インタビューページでも取材されていたというから、その活躍ぶりがうかがえる。

震災の景色がもたらした
社会貢献への強い意識

 大学卒業後は新たにカフェを起業し、3年ほど経営した後、2011年に家業である「やま弥」に入社する。その5年後には父から社長を引き継ぎ(2021年に退任)、現在は同社が同時経営している不動産運用会社「MNHT」の取締役を務めている。

 そんな野島さんが熊本JCへと入会するきっかけになったのが、2011年の東日本大震災だ。被災地を訪問し、惨状を目の当たりにするなかで、自身ができることの限界を感じたという。「何か社会貢献がしたいと思っても、一個人や一企業ができることには限界があると思い知らされました。しっかりとした組織で腰を据え、地域に根づいた貢献をするべきだと感じたんです」。そうして28歳で熊本JCに入会した野島さん。会合の回数が多く、本業との両立は大変だが、「良い意味で『ビジネスと切り離して』、熊本の地域社会への貢献に注力できることが、大きなやりがいになっています」と語る。例えば熊本地震や令和2年7月豪雨の際も、「熊本JC」の組織力をいかして即断即決で支援に動くことができた。ほかにも青少年育成やスポーツ振興、地域活性化ほか、多角的に熊本地域への社会貢献へと取り組んでいる。熱い思いを持つ青年たちが集まり、動く「熊本JC」の活動は、「自身の修練にもなっている」と野島さん。人を動かすリーダーとしての資質の育成や人間関係の構築、さらに多分野の勉強など、自己成長につながっていると実感しているという。

熊本の「要石」として
街を盛り上げる存在に

 そうして積極的に活動するなかで周囲の後押しもあり、青年会議所に所属できる最終年となる39歳で、理事長に選出された。「熊本の街にもっと力強く貢献できるよう組織の力を強いものにすると同時に、社会をリードできる人材の育成に努めたい」と意気込みを語る。熊本地震後、熊本城の石垣復興の力になりたいと石工の勉強をしていたという野島さん。その経験から、熊本JCが熊本の街にとって、熊本城の石垣を支える「要石」のような存在でありたいと望んでいる。

 一方で、スポーツ振興に関わったことをきっかけに、プロ野球の独立リーグ・ヤマエグループ九州アジアリーグ所属の「火の国サラマンダーズ」の立ち上げにも携わった。持ち前の多才さとビジネス感覚、そして人脈をいかし、キャラクターやロゴの考案からブランディング、マーケティングまで手掛け、球団の活躍を支えた。そして2024年5月には、球団代表に就任。スポーツの分野からも熊本の街をより盛り上げたいと、意気込む。

 学生時代から常にビジネスや将来のビジョンを見据えながら活動し、今はその視野を熊本全体の発展へと広げながら、多方面で活躍する野島さん。「自由に使える時間がたくさんある大学生時代に、自分の人生のビジョンを見つけて、それに向かって歩んでほしい。それが、自身の生きる力となり、それから数十年と働くなかでのモチベーションになるはずです」と、最後にクマガク生へエールを送った。

(2024年4月取材)

Memorial photo

オーストラリアへ1年間留学。たくさんの友人ができ、コミュニケーションスキルや自炊の力も上がったと語る野島さん

2023年に山口県で水害が起こった際も、熊本JCとして即座に支援に動いた。現地でのボランティアの様子

「やま弥」入社後間もなく、熊本JCにも入会。異なるバックグラウンドを持つ仲間たちとの交流は大きな刺激になった

「火の国サラマンダーズ」の立ち上げに関わり、お馴染みのこのマスコットのデザイン、プロデュースも手掛けるなど、多才な能力をもつ野島さん

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