卒業生

クマガクフォーカス KUMAGAKU
FOCUS

お客様を第一に磨き上げてきた行動力で変革のなかにある熊本経済界を支える

株式会社 肥後銀行
取締役常務執行役員

髙本 芳郎さん

Takamoto Yoshiro

クマガク人物伝

1989(平成元)年3月
経済学部 経済学科 卒業

1965(昭和40)年5月、熊本市生まれ。九州学院高等学校出身。大学卒業後、1989(平成元)年4月に肥後銀行へ入行。2007(平成19)年に近見支店長、その後各地の支店長・ブロック統括店長を務める。2019(平成31)年4月に執行役員、2022(令和4)年4月に取締役常務執行役員に就任。

熊本の経済界を支える銀行の
取締役常務執行役員に就任

 熊本県を中心に地域経済を支え、地域課題解決や環境保全、福祉・文化活動にも取り組む「株式会社肥後銀行」。2022年4月に取締役常務執行役員に就任した髙本芳郎さんは、本学経済学科の卒業生である。各地の支店長やブロック統括店長などキャリアを重ね、現在は事務部門・IT部門の責任者として、お客様の利便性を高めるために手続きのデジタル化の先導役を担う。そのパワーの源を尋ねると、大学時代の濃密で充実した日々と、そこで出会った人々のことを語ってくれた。
 小中高とバスケットボール部に所属し、西日本大会優勝に貢献するなど注目のプレーヤーだった髙本さん。当然、関東の大学などから推薦入学の話が来たが、「自分の将来は自分で決めたい」と、熊本商科大学(現・熊本学園大学)の一般入試での受験を決めた。「当時は好景気だったこともあり経済に興味を持ち、経済学科を志しました」。ゼミでは日本経済を専攻したが、授業でアメリカをはじめとしたグローバル経済も学ぶことができ、世界を俯瞰する力が身についたという。「故・高瀬泰之教授のゼミで理論と実態経済の両方を学ぶことができて、とても有益な日々でした。高瀬教授から、日本経済新聞の購読を勧められ、以来37年間、新聞に目を通すことが毎朝の習慣になっています」

大学変革期のなかで
学生代表の一員として活躍

 学びとともに熱中したのがバスケットボール、そして学生自治会の体育常任委員会の活動。委員長として33サークル約800名(当時)の組織をまとめ、予算折衝や九州インカレの運営など、責任ある仕事を任された。当時、大学では学部学科新設や図書館新築、グラウンド移転などを計画。大学が大きく変わろうとしていた時代に、学生代表の一員として理事長や大学・短大学長、教職員と深く交流しながら携わったことは、今思い返しても貴重な経験だったという。「先生や職員の方々、さらには体育常任委員会OB会『白眉会』の先輩方との距離がとても近く、熱くご指導いただいたり、飲みに行ったりと可愛がってもらいました。そして当時の繋がりは今も続いています」。もともと、やると決めたら貫き通す意欲と行動力の持ち主。大学でさまざまな年代の人との関わりを通して、社会人としての礼節や人間力、リーダーとしてのあり方、物事の動かし方、スピード感、コミュニケーション能力を身につけ、人脈を構築していった。

「お客様のため」の一心で
自分の筋を貫き通す

 卒業後、経済の全体像を見渡せると考え銀行への就職を志望し、肥後銀行へ入行した髙本さん。バブル経済という特殊な時代に、その景気の実態を見据えることに注力した。「とにかく大事にしているのは『お客様のために一生懸命やること』です。自分の軸をしっかり持ち、自ら考えて動く。それは大学選びのときから、学生生活のさまざまな活動、そして就活での肥後銀行という狭き門への挑戦と、一貫して磨き上げてきた力です」。阪神淡路大震災直後の大阪支店勤務では、現地の信用金庫や銀行の破綻による混乱を目の当たりにし、改めて「お客様のため」という金融機関の存在意義を貫くことを決意。2007年、42歳という通常よりも早いタイミングで支店長となり、その後5支店もの支店長を経験しながら、熊本地震、コロナ禍など未曾有の出来事にも全力で取り組む日々だった。

発展し続ける熊本で
若者の可能性は無限大

 取締役常務執行役員となった現在、事務部門およびIT部門の責任者としてデジタル化を推し進める一方で、熊本市北部と県北の支店全域を役員として担当し、お客様訪問も行っている。「お客様や同僚・部下との関係づくり、支店のマネジメントなど、いまも大学時代の財産がいかされていると感じる場面が多くあります。何より、クマガク卒業生の人脈がいきる場面が多く、熊本の経済界で働くうえで大きな強みになっていると思います」
 TSMC(台湾積体電路製造)の進出をはじめ、2023年度以降の熊本は大きな変化が見込まれる。さらに、SDGsやESG※、カーボンニュートラルなどへの対応も待ったなしの時代に、熊本において肥後銀行が担うべき役割も大きい。そのなかでお客様・地域・社員とともによりよい未来を創造する「地域価値共創グループ」への進化をめざして、多面的な活動で尽力したいと髙本さんは語る。同窓会志文会肥後銀行支部による本学への支援も、その未来への投資の1つでもある。「今の学生に伝えたいのは、成長の可能性を高める方程式は『やる気×能力×時間』だということ。どれかがゼロだと結果もゼロになってしまいます。学生時代は自分に投資できる時間が十分にあります。少しの機会も無駄にせず、高い目標に挑戦してほしいです」

(2023年1月取材)

※ESGとは、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉で、企業が長期的に成長するために、経営においてESGの3つの観点が必要だという世界中で広まっている考え方。

Memorial photo

バスケットボール部では、4年次に主将を務める。熊本県のトーナメントで準優勝し、全国予選を兼ねた九州大会にも出場(写真左から2番目)

同窓会志文会肥後銀行支部長を務める髙本さん。2021年度には同支部から本学に感染防止対策用のアクリルパーテーション100台が寄付された(写真左から3番目)

デジタル化が加速度的に進むなか、自身もIT部門の責任者として「ITに関して、今も毎日勉強中です」と話す

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