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ミニシンポジウム「大洋デパート火災資料の人権論的意義」を開催しました
2025.12.02
11月26日(水)熊本学園大学付属図書館AVホールにて、ミニシンポジウム「大洋デパート火災資料の人権論的意義」が開催されました。本シンポジウムは、昨年12月に本学図書館に寄贈された資料の社会的価値を、法学・実務・歴史学の観点から考察し、裁判資料の保存という「記憶の継承」の意義を再考することを目的としています。
まずはじめに、学校法人熊本学園 目黒純一理事長は、「資料をどのように収集し、保存し、後世へ伝えていくかという点において、図書館の果たす役割は非常に大きく、まさしくアーカイブズの意義そのもの。多くの学生や研究者が図書館を利用していることを、設置者として大変誇りに思います」と挨拶しました。
社会福祉学部の森口千弘准教授(専門:憲法)は「アーカイブスと人権論的意義」と題し登壇。アーカイブスの本質は「資料を単に残すだけでなく、整理し、活用できる形で保存すること」であると説明。そして、人権侵害の証拠の保全や、個人の権利の証明などの役割として、重要な意義があり、水俣病やハンセン病など熊本に残る歴史も、アーカイブズが存在することで追体験し、後世へ伝えることが可能になると語りました。また、地域の大学として資料保存の努力を続け、電子化も進めていることを紹介しました。
次に熊本学園大学招聘教授の高峰武氏は「資料保存の意義(大洋デパート火災、免田事件など)」について講演。新聞記者時代の取材経験をもとに、免田事件では免田さんの自宅で受け取った膨大な資料の分析で新たな発見があったことを紹介し、1950年代にTBS(旧ラジオ東京)が録音した音声資料も取り上げました。生の記録が残ることで分析が可能になったとその価値を強調。これらを通じ、資料保存が過去の事実確認や未来への教訓につながるとし「資料の整理・保存、そして活用がこれからますます重要になる」と述べました。
最後に松本津紀雄弁護士は、訴訟弁護団事務局次長として保管してきた訴訟記録や被害者会資料などの価値を解説。資料は過去の事件を振り返るだけでなく、将来の悲劇を防ぐ教訓になると述べました。また、資料が大学に寄贈されることになった経緯や人との出会いの大切さにも触れ、「どの仕事に就いても、人との出会いを大切にしてほしい」と締めくくりました。
