商学科足立ゼミが企業見学を実施
2024.05.27
5月14日(火)、商学科の足立裕介准教授(専門:中小企業論)の3年ゼミ生15名が、株式会社倉岡紙工(上益城郡嘉島町)を訪問、見学しました。これは、「中小・ベンチャー企業」の事業創生や成長を学ぶ同ゼミ生が、企業の生産現場や、各事業の取り組みを実際に見ることで、その特徴や企業構造などの研究にいかすことを目的として行ったもの。紙製パッケージの企画・製造を行う同社は、製造ツールの電子記録化などDX(デジタルトランスフォーメーション)で先進的な取り組みを行っている中小企業として全国的に注目されています。
代表取締役社長・CEOの倉岡和徳氏は、スライドや自社のホームページなどを示しながら同社の概要について紹介。1965年創業の同社は、暗くて非効率な作業も多い作業環境で、下請け会社として顧客の声をとらえることも困難などの課題を抱えていました。そこで、熊本地震から再建する際に、工場にクリーンルームを備えた、九州唯一の医薬品と化粧品のパッケージ取扱可能工場として業務を開始。さらに、デザインを専門とする部署を設置し、顧客満足度の高い製品づくりのため直接顧客と取引する元請け会社にシフトしました。倉岡氏は「パッケージはもともと中身の商品を守るためのものであったが、商品の魅力を伝える宣伝効果や紙が環境に優しい素材という魅力もあり、パッケージが重宝される時代で市場も伸びてきた。通販市場の拡大を受け、SNSを活用したブランディングやパッケージデザインにも力を入れている」と述べ、阿蘇のお菓子メーカーのブランディングを手掛け売り上げを倍増させた成功例や、コーヒーのメーカーから受注したお土産用パッケージなどを学生たちに紹介しました。
さらに、企業におけるDX活用の重要性についても言及。製造過程で煩雑だった作業をIotを駆使したデータベース化やマニュアル化によって作業の効率化や技術継承を確保し、作業ロボットの導入をはじめ、AIを活用したデザインDX、進捗状況など営業業務を「見える化」した営業DXといった事例を紹介しました。
倉岡氏の講話の後、学生たちは3班に分かれて工場を視察。デザイン担当者からの説明やカッティングマシーンを駆使した見本パッケージ制作の実演、加工から出荷まで徹底した清潔さと効率的な生産ラインを見学しました。
見学後は質疑応答の時間が設けられ、学生から「クリーンルームを導入するにあたって参考にした工場は」「い草など、熊本の特産品をいかした新たな紙の素材を検討されているか」など、積極的に質問の手が挙がりました。その一つひとつの質問に、倉岡氏や営業部門の社員の方から丁寧な回答がありました。
参加した堀内堅心さんは、「会社がDXを取り入れるなどの変革する際に、従業員とどのように方向性を共有していったのかといった話が勉強になった。今日聞いた講話などを参考に、ゼミでの企業研究に取り組んでいきたい」と話しました。