高大連携事業の一環で大分南高等学校の2年生が来学しました
2026.08.19
7月7日(火)、高大連携事業の一環として、大分県立大分南高等学校福祉科の2年生75名が本学を訪れました。これは、施設見学や模擬演習等を通して大学の学びに触れ、進路決定への意識を涵養することを目的として行われたもので、同校で2020年から3年間、災害福祉の学習サポートを務めた社会福祉学部の黒木邦弘教授(専門:ソーシャルワーク論)が指導に当たりました。
はじめに14号館1階の高橋守雄記念ホールでは、今春に同校を卒業し本学社会福祉学科に入学した2名の在学生が後輩たちを温かく歓迎しました。続いて、黒木教授が「インクルーシブな避難所運営~熊本学園大学避難所の事例報告~」をテーマに登壇。黒木教授は、避難生活の肉体的・精神的負担による災害関連死を食い止めるためには福祉の力が不可欠であると強調し、2016年の熊本地震の際、指定避難所ではなかった本学が、高齢者や障害者、外国人など多様な人々を受け入れた45日間の自主避難所運営を紹介しました。マニュアルがないなかであっても、本学では平時から障害者らを受け入れることを大切にしてきた「どなたでもどうぞ」、管理的になりやすい避難所運営で大切な「管理はしない、配慮する」など4つの原則が紹介され、閉鎖後の在宅復帰への伴走支援の重要性が語られました。
その後、7号館の学生食堂で学食体験を楽しんだ生徒たちは、午後から「新1号館 みらい」の121教室へと場所を移し、5〜6名の班に分かれて、同校の体育館の平面図を用いた「避難者の立場に立った避難所レイアウト」を作成する演習に取り組みました。このワークショップには、高齢者や障害者支援などをテーマに卒業研究に取り組む黒木ゼミの4年生11名がサポーターとして各班に加わりました。
黒木教授はまず、2025年の災害救助法改正にともない災害救助の種類に「福祉サービスの提供」が加わり、災害派遣福祉チーム(DWAT)の初動体制が強化されたという最新の動向を解説し、医療と福祉の連携が強化された時代背景を説明しました。さらに、同校のある判田地域のハザードマップを示しながら想定される災害について生徒に問いかけ、1946年の南海地震では大野川でも津波が記録された歴史や、2011年の東日本大震災において津波が川をさかのぼる「河川遡上」により河口から約50キロ離れた内陸まで到達した事例を指摘。このことから、ハザードマップのデータだけに頼らず「ここに津波は来ない」という思い込みを捨てる重要性を強調しました。あわせて、同校が指定避難所になっていることに触れ、大分市が定義する避難行動要支援者には要介護認定1~2の方や指定難病の方、小児慢性疾患を抱える子どもまで含まれており、一般避難所であっても多様な福祉的ニーズに対応する想定が必要であることを共有しました。
これらを踏まえて始まったレイアウト作成では、生徒たちがチーム内で「本部長」「安全担当」「情報担当」「分析担当」という4つの役割を分担しました。そして、司令塔となる本部長を中心に、体育館の図面を用いて避難所の配置を検討していきました。安全担当が換気用の窓を塞がない配置や車いすの動線を意識して通路を書き入れると、他のメンバーからも活発な意見が飛び交い、運営本部や受付、掲示板などの基本機能を示すシールを次々と貼って、生徒たちなりのレイアウトを完成させていきました。 ワークの途中には、黒木教授から「避難所で懸念される女性や子どもの防犯対策」や「認知症による徘徊への理解」など、福祉的な視点での課題も投げかけられ、生徒たちは真剣な表情でさらに議論を深めていました。
参加した生徒からは、「これまで避難所は『ただの寝る場所』だと思っていましたが、障害のある方や子ども、女性など、多様な人々が利用する場所で、『福祉の視点』の重要性を実践を通じて学ぶことができました」と感想を述べました。
