産業経営研究所と県中小企業家同友会による熊本地震の被害・復興状況の調査結果を発表

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2018.01.18

 本学付属産業経営研究所は、熊本県中小企業家同友会と共同で実施した、熊本地震による被害状況および復興状況についての調査結果を発表しました。
 1月18日(木)に行われた記者発表には、研究所長の吉川晃史会計専門職研究科准教授、研究員の堀越昌和商学部准教授、同友会から代表理事の木村正夫氏(株式会社ゆうプランニング代表取締役)、広報委員長の岩井雅彦氏(株式会社アドロックデザイン代表取締役)が出席。新聞・雑誌5社、テレビ5局が取材に訪れました。

 この調査は、中小企業・小規模事業者の震災による被害からの復旧・復興に至る記録を後世に伝え、今後の事業継続マネジメントのあり方を模索するため、産業経営研究所と中小企業家同友会が共同で実施したもの。堀越准教授・吉川准教授の研究チームが、平成29年8月から11月まで、同友会の会員864名を対象に210項目の質問から成る「熊本地震復興実態調査アンケート」を行いました。有効回答数は109通、有効回答率は12.6%。

 調査結果によると、回答企業の60.2%が熊本地震によって設備の破損など直接的被害を受けており、受注減少など間接的なものも含めると69.4%が何らかの被害を受けたと回答。企業の景気の感触を示す業況感は、震災直後の平成28年7月に一時的に悪化を示したものの、翌年7月には震災前と比べて好転しており、事業の一時中断を余儀なくされた企業も比較的早期に事業再開していたことが分かりました。資金繰りについても、ほぼ全社が必要最低限の資金を調達できたと回答しており、取引先企業からの資金的援助や自治体からの一時金・補助金など、金融面のサポートによる効果が大きかったと見られる結果に。一方で、業況感については業種によってばらつきが生じており、堀越准教授は「建設業とサービス業では良いが、製造業や流通業は良くないといった業界間の格差が生じている」と指摘しました。
 また、震災前に事業継続計画(BCP)を策定していた企業は8.7%でしたが、震災後は事業継続計画を「策定済み」と回答した企業が15.5%と上昇。「策定中」17.9%、「策定予定」28.6%を含めると62%に達し、事業継続リスクへの備えの進展がみられました。
 

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