作家の井沢元彦氏を迎え、第26期DOがくもん・第2回講演会を開催しました

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2018.09.29

 公開講座第26期DOがくもん(熊本学園大学・熊本日日新聞社主催)第2回講演会が、9月29日(土)、本学14号館高橋守雄記念ホールで開催され、作家の井沢元彦氏が「逆説史観でみる加藤清正と西郷隆盛」と題して講演。320名が聴講しました。

 井沢氏は冒頭、傘を差したまま演壇に立ち「やはり室内で傘を差すのはおかしいと思われるでしょう。傘は雨が降る屋外で差すのが常識です。17世紀のロンドンでは、コウモリ傘を持っているのが紳士の定番スタイルでしたが、それ以前の紳士は傘を差さない、持とうとしないものだったのです」と、傘を差すことが合理的な行為というように英国紳士の常識を変えた人物を例に、常識は変わるものと説明。「歴史は昔の人が何に悩み、どう行動し、生きたかという記録。人は常識によって動くもの。だから当時の常識をわかっていないと、歴史を理解できない」と指摘しました。

 昔の常識と今の常識が違う例として、安土桃山時代を挙げ「当時は戦争で領地が増え、豊かになっていた時代。兵士たちはどんどん戦争をして手柄を立てたいと思っていた。誰も戦争を望んでいないという現代の常識をあてはめてはいけない」と説明した。また、西郷隆盛の人生も、当時の常識を知らなければ理解できないとし「西郷は、徳川幕府が広めた朱子学を学んでいた。しかし皮肉なことに、幕末になると朱子学の考えをもとに、天皇家こそ世を徳で治める理想的な君主だとする思想が広まり、それが西郷らの討幕につながっていった」と解説しました。

 最後に、井沢氏は「日本史の教科書は、昔の常識を理解していない歴史家が書いているので、大きな欠点がある。私はそれに気づいてから、今の日本史の常識を変えなければならないと思い、ライフワークとして『逆説の日本史』を書き続けている」と話し、講演を締めくくりました。

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