ICTで地域の課題解決を考える「Code for Kumamoto」キックオフイベントが本学で開催されました

地域

2019.07.13

 熊本学園大学経済学部の境章教授の呼びかけで、ICT(情報通信技術)を使った地域課題の解決をめざす「Code for Kumamoto」のキックオフイベントが7月13日(土)、本学の14号館1412教室で開催されました。

 これは、プログラミングやインターネットに関する知識の有無にかかわらず、企業・行政・大学や市民が一緒に ICT を活用した地域の課題解決やまちづくりなどの施策を考えていくもので、「シビックテック(Civic Tech)※1」と呼ばれる活動の一つです。「Code for (地名)」の活動は米国を起源とし、近年、日本各地でも同様の動きが活発化しています。熊本では今回のキックオフイベントが初開催で、本学経済学部の学生を含め九州各地から約70名が参加しました。また、本活動(Code for Kumamoto) を通して一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会が実施する「アーバンデータチャレンジ(UDC)※2」にも熊本ブロックとしてチャレンジしていく予定です。

 開会に先立ち、境教授は「今日は各県の先進事例を学べるよい機会。熊本でオープンデータをどのように活用できるのか、県や熊本市の方針も踏まえつつ、今後、産業界や地域住民の皆さんとどのように連携していけばよいかを考え、議論を深めていくきっかけにしたい」と挨拶。

 プログラムでは最初に、Code for SAGA代表の牛島清豪氏(株式会社ローカルメディアラボ代表取締役)から、オープンデータやシビックテックの捉え方、Code for SAGAの取り組み事例について解説がありました。牛島氏は、スマートフォンなどでゴミ出し日を手軽に確認できる「佐賀市版ごみカレンダーアプリ」や地域の情報をふんだんに盛り込んだGoogleストリートマップの充実化(有田町)などの取り組みを紹介し、「必要に応じてデータを使い、社会を再構築していくことが私たちの目標。行政や企業はデータを開放することにより、業務の効率化やコストダウンを図ることができる。また、活用する側は新たなビジネスや市民サービスの可能性が拡大し、市民もこの活動に参加することで、生活の質が上がっていく。熊本でもこの動きが活発化していくことを期待する」と、活動の意義を語りました。

 このあと、Code for Nagasaki、Code for Kurume、Code for Fukuokaの代表から活動開始の経緯や特色ある取り組み事例の発表、さらに、宮崎県のオープンデータの立ち上げや熊本県のオープンデータ化への取り組み状況についても説明がありました。

 これを受け、境教授が、これまで学生と地域おこしの活動に関わってきた熊本市西区のウィキペディアタウン化、オープンストリートマップの充実、地域特産物を使った加工品の販売・流通に向けたインターネットの活用などを活発化させていきたいと、今後の構想について語りました。また、熊本県立大学の佐藤忠特任講師からも、地域の活動の輪が広がっていくことへの展望が語られました。

 イベントの司会を務めた北島美織さん(経済学科1年)は、「各県の事例を聞き、取り組みの自由度の高さに驚きました。また、活動に参加する市民の視点に立ったユニークな提案が原動力となっていることに、オープンデータの活用から広がる可能性を強く感じました」と感想を述べました。

 

※1 シビックテック…シビック(Civic:市民 )とテック(Tech:テクノロジー)をかけた造語。地域住民が ICTを中心としたテクノロジーを活用し、行政サービスや社会の課題を解決する取り組みのこと

※2 アーバンデータチャレンジ(UDC)…地域課題の解決を目的に、主に地方自治体を中心とする公共データを活用したデータ活用型コミュニティづくりや一般参加を伴う作品コンテストを(一社)社会基盤情報流通推進協議会が中心となり実施するもの。 全国の都道府県の活動単位となる「地域拠点」として、境教授らの活動は2017年から選定を受けています。

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