第27期DOがくもん第2回講演会が開催されました

地域

2019.10.16

 本学と熊本日日新聞社が共催する公開講座第27期「DOがくもん」第2回講演会が10月5日(土)、14号館高橋守雄記念ホールで開催されました。

 「愛すべき“ざんねんないきもの”と進化」と題して、動物学者の今泉忠明氏が講演。小学生から80歳代まで幅広い年代の約300名が聴講しました。今泉氏は、東京水産大学(現 東京海洋大学)を卒業後、文部省(現 文部科学省)や環境庁(現 環境省)の生態調査などに参加。現在は奥多摩や富士山の自然調査に取り組み、監修を務めた児童書「ざんねんないきもの事典」シリーズ(高橋書店)はベストセラーとなっています。

 「この本は、実は進化の本です。“ざんねんないきもの”とは何だとよく質問を受けますが、進化に取り残されたいきもののことです」と語り始めました。「6千万年程前には、象と同じくらいの大きな『なまけもの』がいましたが絶滅しました。大きなものが滅びてしまい、時速160メートルでしか動かない小さな『なまけもの』が今生き残っています。すぐれているものが栄えるのではなく、そうでなくても生き残るのです」と話し、ゴリラ、トラ、チンパンジー、ツチブタなど次々に紹介すると、会場からは、感嘆の声や笑いが起こりました。「生物というものは、分かったようで分からないことだらけです。だから説明すると『だろう』になります。これを『である』に変えるのは、子どものみなさんですよ」と話しました。「本を読んだ子どもたちから手紙をもらいます。大人をうならせるような内容もあります。読書の後に、手紙を送るということは、基本的な「読み」「書き」ができるようになるということです。本を読まなくなったと言われる今、これはすばらしいことだと思います」

 続けて、今泉氏が動物学者の道に進んだきっかけや、現在行っている富士山での自然調査について語りました。講演は、終始子どもたちに語りかけるよう、分かりやすい言葉で進みました。

 最後に「進化とはよりすぐれた方向へ行くことを言いますが、進化しなくても生き残っているいきものはたくさんいます。世の中には、いろんなものがいるということが大切です。この本から、そう感じてもらえるといいと思っています」と締めくくりました。

 講演後には、子どもたちからの質問の時間が設けられました。「好きな動物は何ですか」「いつから動物が好きなのですか」などの子どもらしい質問のほか、「犬を辞典で調べたら、猫目犬科とありました。これはどういうことですか」といった大人でも分からない質問も飛び出し、講演会は終了しました。

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