「第19期水俣学講義」が開講されています

大学

2020.10.30

 社会福祉学部の水俣学講義で10月22日(水)、環境ジャーナリストでグリーン・アクション代表のアイリーン・美緒子・スミス氏が講演しました。

 今期で19期目となる水俣学講義は、水俣病事件を単に知識として知るものでも、医学的な解説でもなく、水俣病事件をさまざまな視点から捉えようとするもので、患者自身はもちろん、さまざまな形で水俣病と関わった研究者、行政関係者、支援者、市民、写真家、作家などの多岐にわたる顔ぶれを講師に招いています。秋学期に始まったこの講義は、受講生多数のため、オンラインで行われています。

 フォトジャーナリスト故ユージン・スミス氏と共に水俣に移住し、世界に水俣病を知らしめたのが、今回の講師アイリーン氏。「私が見た水俣―そして今取る行動」と題して行われた講義では、「21歳~24歳の私からのメッセージ」として語り始めました。「水俣病被害の当事者でなければ時が過ぎれば終わることができます。しかし、当事者に交代はない。今も続いているのです」と今もなお水俣病は続き、闘っていると訴えました。講義では、水俣の人々を撮影した写真をスクリーンに映し出し、数枚は解説するものの、多くは何も語りませんでした。その中の一枚、1973年の第一次水俣病訴訟判決後に撮影された写真を宝物であると話しました。「今も続く裁判の原告も60年前は3歳4歳の子どもたち。その子どもに対して国は、魚が汚染されていたことは知っていたはず、分かっていたでしょうと言っているのです」。水俣病事件が半世紀以上たっても解決していないと語りました。

 最後に福島の原発問題にも触れ、問題の構図は水俣病と同じだとし、「現場の状況を伝える、可視化する努力が必要だ」と、講義を締めくくりました。

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