「地域経済特講(講座熊本)」で江頭実菊池市長が講義

経済学部

2021.10.21

 令和3年度経済学部「地域経済特講(講座熊本)」(担当:金栄緑教授、境章教授、山口泰史准教授)が始まりました。本授業は、熊本を中心に活躍中の民間企業、行政など各関連分野の方々を講師に迎え、さまざまな角度から生きた熊本の経済、社会、文化について幅広く学ぶ授業で、2013年から毎年実施しています。9年目となる今年度は各分野から12名の講師陣を迎えます。 
 
 初回の10月6日(水)は、江頭実菊池市長による講義が行われ、学生約50名が聴講しました。民間企業出身の江頭市長は、銀行員として主に海外部門に従事した後、ソフトバンクを経て、2013年に菊池市長に就任し現在3期目。講義では「癒しの里戦略について」と題し、菊池市の特徴や強み、抱える課題、自治体経営について話しました。 
 
 江頭市長は、菊池市は豊かな自然や米を代表とした農業などを強みとする一方で、高齢化や人口減少といった課題に直面していることに言及。課題解決のためには『経済のエンジンづくり』が重要であると話し、観光交流人口増大による経済効果を狙う「癒しの里戦略」について解説しました。
 
 「癒しの里戦略」は、不安定な国際政情や経済格差、地球温暖化、コロナ禍など現代のさまざまなストレスにより人々の価値観が、心の豊かさを求める「自然回帰」「健康志向」に変化しているとして、菊池市が都市部の人々にとって癒しとなる「心と体の健康を取り戻す命の洗濯の場所『癒しの里きくち』」をコンセプトに展開するもの。『食(農)の里』『花と緑の里』『スポーツの里』『文化の里』の4つの“窓”を作り、それぞれの窓口から菊池の魅力を発信することで「グルメ、自然、スポーツ、歴史を通じてリピーター『菊池ファン』を作る。リピーターを作る事はどの産業においても極めて重要な戦略である」と話しました。

 また、「菊池さくら千年プロジェクト」をはじめとする市民参画プロジェクトについて紹介。市民が、まちづくりを自分ごととしてを捉えることで地元により愛着を持つようになり、コストダウンにもつながるとしたうえで、「人財こそが一番の地域資源で、経済の基盤を作るには人財育成が必要不可欠。ないものねだりをするのではなく、今あるものに目を向けて活用していくうちに考えてもいなかった化学反応が生まれるもの。田舎こそ可能性の宝庫であり、それをどうやって掘り起こして磨き上げていくかは『人財』にかかっている」と述べました。最後に、菊池市が地方創生に向けて掲げている合言葉「3つの『つ』(1.つどう 2.つなげる 3.つづける」について解説があり、「皆さんに自治体経営の面白さが伝われば嬉しい」と締めくくりました。

 学生からは「課題と向き合い、菊池にしかないものを使って市民と共に地方創生を盛り上げている取り組みはとても魅力的だと思った」、「菊池市に住んでいる。より豊かで文化的な暮らしができる市になっていくことが楽しみ。市民としてできることを考えたい」といった感想がありました。また、講義を聞いて菊池市の魅力をたくさん知ることができ、あらためて訪れてみたくなったという声が多数寄せられました。

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