令和4年度春期公開講座が開講

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2022.06.08

 6月4日(土)、14号館1411教室で令和4年度春期公開講座が、令和元年度秋期公開講座以来、2年半振りに開講しました。「過去を振りかえり今を見る~国際的な視点から~」をテーマに6月25日(土)まで毎週土曜日全4回にわたり対面で開催予定。講座初日の今回は、開講式とオリエンテーションも行われ、57名が受講しました。

 開講式では公開講座運営委員長の外国語学部 土井浩嗣准教授(専門:朝鮮近代史、農業史)が「新型コロナウイルス感染防止の観点から定員を縮小し2年半ぶりの開講となりましたが、多くの方に申し込みいただきました。今回のテーマは、“過去を振り返りながら今に何かいかせることはないか”と考えること。過去と現在を通して知的な関心を大いに広げていただきたい」と挨拶しました。

 続けて外国語学部 小笠原淳准教授(専門:中国現代文学)が「植民地期台湾の光と影—熊本の作家坂口䙥子の『物語』から読み解く」と題して講演しました。坂口䙥子(1914年-2007年)は台湾を描くことをライフワークとした熊本の作家で、1960年発行の「蕃婦ロポウの話」(『詩と真実』139号)は芥川賞最終候補作品に選出されています。小笠原准教授は、未発表原稿「樹霊」と「蕃婦ロポウの話」を比較し、作家が表現しようとした統治期台湾の光と影について話しました。「この講義は、台湾の光と影を坂口さんの「物語」から読み解こうというもの。「樹霊」は日本人と台湾先住民の敵対関係を描く影の部分が強調されている。一方「蕃婦ロポウの話」は、対等な人間関係を築こうとする光の部分を強調している。台湾山地の物語には、植民地期台湾に対する内省と愛憎が入り混じり、かつ光と影といった矛盾した感情が潜んでいる」と締めくくりました。質疑応答では、受講生から多くの質問があがり、小笠原准教授は一つひとつ丁寧に解説しました。

 受講生の70歳代女性の方は「コロナ禍で人に会うこともなく過ごしていました。人に会い、知らない世界に出会うことは本当に楽しい。知らなかったことを調べる楽しみもあります。人生を楽しまないと」と笑顔で話しました。

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