「地域経済特講(講座熊本)」で㈲宮川洋蘭の宮川将人代表が登壇

経済学部

2022.10.05

 令和4年度経済学部「地域経済特講(講座熊本)」(担当:金栄緑教授、境章名誉教授)が開講し、熊本を中心に活躍している企業や行政などの各関連分野の方々を講師に迎えるゲスト講義がスタートしました。本講義は、さまざまな角度からいきた熊本の経済、社会、文化について幅広く学ぶ授業で、10年目となる今年は13名の講師陣を迎える予定です。
 初回の9月28日(水)は、宇城市三角町の戸馳島で贈答用胡蝶蘭から世界各国の300種類ものランをIT活用しながら栽培から販売まで行う有限会社宮川洋蘭の代表取締役で、農家ハンターとしてイノシシから地域と畑を守り、イノシシの利活用を行う株式会社イノPの代表である宮川将人氏が登壇しました。
 宮川氏は、国内最大級のEC(インターネット上で交わされる商取引)サイト「楽天市場」の年間MVPであるショップオブザイヤーを受賞したことに触れ、ECを使った販売の可能性について言及。「田舎の農家の農具はパソコン。ECを使って自社の商品を地元だけでなく世界に発信できる。みなさんには、SNSなどを使って情報を受ける側ではなく、情報を発信する側になってほしい」と語りました。また、自身が過労で倒れた過去を振り返り、「“今日が最後の一日だったら”と考えるようになり、家族・地域・家庭の3つを大切にする軸ができた。損得を超えて地域の活性化に貢献するお店でありたい」と述べました。
 途中、宮川氏が総合ランキング1位に輝いた楽天市場を運営する楽天グループ株式会社共創事業推進部の塩沢友孝ジェネラルマネージャーが登壇する場面もあり、「何を売るかも大事だが、どう売るかも大事。インターネット上で商品のスペックや特徴だけでなく、商品のその先にあるHAPPY(幸せ)をいかに伝えるかが重要」と述べ、ネットショップの必要性について言及しました。
 また、宮川氏は、農家として「地域と畑は自分たちで守る」という思いから、田畑を荒らすイノシシ駆除を行う農家ハンターとしての活動も紹介。猟師と違ってテクノロジーを使ってイノシシを駆除し、イノシシ肉をジビエ料理としてビジネス展開する事業を通して、「悪や損を得や善に変えていく。イノシシを食肉やペットフード、肥料にすることで循環型の鳥獣対策を進めていくことに価値がある」と述べました。さらに、農家ハンターとしての活動で資金が枯渇した経験に触れ、「みなさんは、経済学部の学生なので、右手にロマン、左手にソロバンを持って持続可能な活動をしてほしい」とメッセージを送りしました。
 聴講した学生からは、「お金を稼ぐだけでなく、地域に貢献する視点が大事だと思った」「ECやSNSなどのインターネット環境を農業と掛け合わせている点が斬新だった」などの声が聞かれました。

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