第21期水俣学講義で元水俣市職員の川野恵治氏が講演

大学

2022.12.20

 社会福祉学部の授業科目として開講されている第21期「水俣学講 義」は166名の学生が履修しています。12月8日(木)は、元水俣市職員の川野恵治氏が「水俣市職員として水俣病にどうかかわったの か」をテーマに講演しました。「水俣学講義」はオムニバス形式で、学内教員に加えて水俣病患者、学外の研究者、ジャーナリスト、医師、法律家などを講師に迎え、水俣病事件を単に知識として学ぶだけではなく、歴史や法、差別などさまざまな視点から水俣病を捉え、学びを深めるもの。水俣学研究センターホームページから、インターネット中継を通して一般の方にも公開しており、この日は22名がオンラインで受講しました。

 川野氏は在職中に、長期化する水俣病問題解決と水俣の再生に熊本県と共同で取り組んだ「環境創造みなまた推進事業」や、水俣市の水がめ付近に計画された産業廃棄物最終処分場建設を阻止するための業務に従事。「環境創造みなまた推進事業」では、「水俣病問題」を患者や支援者の『一部の問題』とせず、市民へ水俣病についての正しい理解や対外的なイメージ転換を図るため学習会や各種イベントを県と共同で運営しました。そのなかで川野氏は、多くの水俣病患者、支援者団体、さまざまな市民団体などと出会い、それぞれの立場や見解の違いを調整しながら事業に取り組んだ経験を語りました。「産業廃棄物最終処分場建設阻止」においては、「環境創造みなまた推進事業」で培った市民団体や弁護士などの人脈を駆使し、署名活動や地質調査などさまざまな活動を実施。官・民が一体となり2年で収束した産業廃棄物最終処分場問題について、川野氏は「市民と一緒になって戦った、唯一無二の体験だった」と振り返りました。

 最後に、川野氏は「水俣病問題との関わりで個々の違いを認め一緒にできることを探すことや、人命や健康、自然環境など失ったものは取り戻せないことを学んだ。産業廃棄物最終処分場問題は、多くの水俣市民の力で環境破壊を未然に防ぎ、水俣の大切なものを守ることができた」と、講演を結びました。

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