大学院社会福祉学研究科修士課程の山村慧さんが水俣病特措法対象外地域の調査に参加

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2023.01.11

 水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済対象地域外の天草市倉岳町住民への聞き取り調査に、社会福祉学部高林秀明教授(専門:地域福祉論、生活問題調査)の研究グループの一員として、大学院社会福祉学研究科修士課程1年の山村慧さんが参加しました。

 山村さんは専門学校・短期大学を経て保育士免許を取得後、本学社会福祉学部第一部社会福祉学科へ編入。学部卒業後、将来専門学校の教員として保育士志望の生徒に「保育」について教えたいと大学院に進学し、現在「児童虐待」をテーマに研究しています。高林教授の講義で生活実態調査を学び、自身のフィールドを広げ、新しい知識を身につけられる機会を得たいと、調査への参加を自ら志願。天草市倉岳町の研究グループに加わり、学内で行われた水俣病についての事前学習会を経て、2022年8月からメチル水銀ばく露と健康・生活の実態を把握することを目的に、魚介類の入手・摂取方法や健康状態について住民への聞き取り調査に臨みました。

 高林教授より「何気ない会話でもメモしてほしい。会話のなかから見えるものがある」と指導を受け、担当した地区の町民への聞き取り調査では「一つの言葉も聞き逃さないようメモを取りました」と語る山村さん。そのなかで、水俣病と酷似した症状で苦しんでいる方が多いこと、医療費で生活が圧迫されている世帯があることを知りました。また、地域のなかで「水俣病」への差別や偏見が未だに残っていることを再認識。「今回の調査に参加して、水俣病について知識を深められたことに加え、差別や貧困など地域の課題を直に学ぶことができました。私はこれまで『児童虐待』について子どもを対象に研究していましたが、これからは『児童虐待』と貧困との関連性や、家庭と地域とのつながりなど視野を広げて研究を進めたいです」と、今後の抱負を述べました。

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