ホスピタリティ・マネジメント学科 伊津野ゼミの学生が熊本市職員と意見交換

学部

2023.02.22

 2月9日(木)、熊本市役所本庁舎で、ホスピタリティ・マネジメント学科 伊津野範博教授(専門:交通論、物流論)の3年ゼミ生9名が、2年ゼミ生7名同席のもと、熊本市交通企画課など実務担当者12名に向けて、地域活性化をテーマにプレゼンテーションを行いました。

 同ゼミ生は、2022年5月に本学で、大西一史熊本市長と次期総合計画に関する意見交換会を行いました。そこで刺激を受けた学生たちは、熊本市に何か地域貢献できないかと考え、「DS.INSIGHT(※1)」の人の動きを分析する機能を使い、熊本市の課題である「熊本中心市街地の渋滞解消」、「熊本市中心部の活性化」について、2グループに分かれて研究し発表しました。

 「熊本中心市街地の渋滞解消」を研究した学生たちは、熊本市の中心部が城下町の名残で曲がり角や交差点が多く、中心部から郊外へ放射状に幹線道路が広がっている道路事情に加え、都市交通手段の3分の2が自動車という「自動車依存社会」が交通渋滞の背景にあると分析。熊本市が昨年度計画に位置づけた「10分・20分構想(※2)」にも触れつつ、渋滞を解消するために「ロードプライシング(※3)」が有効ではないかと提案しました。「DS.INSIGHT」を活用して「ロードプライシング」の対象範囲を混雑する熊本市市街地を中心に円状に2500mと選定し、規制時間や価格、免除車両など具体的な導入案を示しました。これに対し、交通企画課、道路計画課の職員からは現状を良く調べている点が評価される一方、実現に向けてのタイムライン(時間軸)について学生に問われる場面も見られました。

「熊本市中心部の活性化」について研究した学生たちは、「DS.INSIGHT」を用いて、アミュプラザが開業した2021年4月以降の人流の分散を指摘。それに加え、人口の減少、相次ぐ大規模小売店舗の新設など郊外開発による地域分散、中心市街地の空き店舗の増加など熊本市中心部の代表的な課題を挙げ、中心市街地への集客をはかるための「歩行者天国」を提案しました。銀座や秋葉原などの先行事例では、歩行者天国の集客が居住者の最大15倍になることを「DS.INSIGHT」から分析し、熊本で実施する場合の時間帯や区域、キッチンカ―などの出店やイベント、実施日には公共交通機関の利用を促すなど具体的な導入検討案を提示しました。この提案を受け商業金融課の職員からは、「大型駐車場を抱える商業施設にも何らかのインセンティブがあると良いのではないか」など活発に意見が交わされました。

 発表を終えた宮本梨央さんは、「DS.INSIGHTを使い、熊本市内の人の動きを分析することは初めてでとても難しかった。熊本市でも以前歩行者天国を実施したことがあったこと、実現するための課題などの話が聞けて勉強になった」と感想を述べました。

 

※1 DS.INSIGHT:ヤフーの位置情報・検索データを元に、特定エリアの生活者情報や店舗・施設の来訪者情報を可視化するサービス

※2 10分・20分構想:令和3年6月に策定された「熊本県新広域道路交通計画」に位置づけられた熊本市中心部から高速インターチェンジまでを約10分、熊本空港までを約20分で結ぶ構想。3つの新たな高規格道路で構成される

※3 ロードプライシング:自動車利用の合理化や交通行動の転換を促し、自動車交通量の抑制を図る施策で、TDM(交通需要マネジメント)施策の一つ。交通渋滞や大気汚染の著しい地域に導入することにより、渋滞緩和と大気環境の改善に資することが期待される取り組み

SHARE: