熊本農業高校において三者間連携による共同教育プログラムがスタート

学部

2023.02.27

 本学と包括的連携協定を結ぶ熊本県産業教育振興会、(一社)熊本県情報サービス産業協会(以下、「情産協」)の三者が、連携・協力のもと実施する新たな事業がスタートし、2月14日(火)熊本県立熊本農業高等学校で、同校の生徒を対象とした特別授業とゲスト講義を実施しました。

 熊本県産業教育振興会の会員である同校は、2022年度からの3カ年、熊本県によるKSH(熊本スーパーハイスクール)事業(※1)の指定を受け、「新学習指導要領に沿った新たな価値を創造する人材の育成~ICTを活用したデータサイエンスとスマート農業を導入した新たな農業教育の実践~」を推進しています。事業の実施にあたって、同校からデータ分析やプログラミング学習、ICT機器の活用などについて協力の要請を受けた本学ならびに情産協は、「データ活用による新たな農業教育のための共同教育プログラム」として、教育・支援活動を行うことになりました。

 今回は、情産協青年部が、プログラミングに興味がある農業経済科の1・2年生8名を対象に特別授業を、本学の小葉武史経済学部教授(専門:マクロ経済政策)が「データサイエンス入門 ~データからわかること~」と題し、同科の1年生41名を対象にゲスト講義を行いました。
 情産協の櫻木誠青年部長は、実際に見たり触ったりしてプログラミングに親しんでもらおうと、フィジカルコンピューティング(※2)が体験できる小型コンピュータ「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」などを用いて、植物工場におけるプログラミング技術を活用した先行事例を紹介。高校生は基板を手に取ったり、実際にプログラムのコマンド編集などを体験。プログラミングで畜産科の課題解決ができないか話し合う生徒たちも見られました。
 小葉教授は、近年データサイエンスへの社会的関心が高まっている背景を紹介したうえで、従来の統計学との違いを説明。さらに、データを活用することでどんなことがわかるのか、コロナ禍前後で変化した食料品や衣類などの消費行動を例に解説し、生徒たちはメモを取りながら熱心に聞き入っていました。小葉教授は、「データを用いると、自分の考えを裏付けることができ説得力が増す。今後もいろいろなことに興味を持ち、知識を身につけ、周りを説得する力を皆さんの大きな力にしてほしい」と生徒たちに伝えました。授業終了後には生徒から「今日の授業の内容を今後の勉強にいかしたい」という言葉が述べられ、お礼として同校が生産している「海苔ノリたまご❤黄身に夢中❤」が手渡されました。

 本学と情産協は、今後の取り組みとしてデータ活用に関する講義、ICT機器の活用に関する特別授業、スマート農業法人での研修、課題研究への助言などを計画しています。

※1 KSH事業:熊本県の全県立高校の特色を明確化したうえで、国又は県指定事業の取組や特色ある学校・学科でグループに区分し、全県立高校を「熊本スーパーハイスクール(KSH)」として位置づけて発信するもの。熊本県立熊本農業高等学校は、県指定のプロフェッショナルハイスクールに指定され、産学官連携により、将来のリーダーとしての責任感・使命感・チャレンジ精神などを身につけることをめざして教育活動を展開している

※2 フィジカルコンピューティング:現実世界のデバイスやセンサーを利用して、物理的な情報を収集し、処理・制御する技術であり、スマート農業などの領域において重要な役割を担う

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