訳書『華語文学の新しい風』が紹介されています

2023.03.03

中国、東アジア、そしてアメリカをめぐる心の旅

 東アジア学科の教員である私、小笠原も翻訳に参加しているアンソロジー『華語文学の新しい風』を、図書館に展示いただいています。
「華語文学」とは、中国や台湾だけにとどまらない東アジア各地の中国文化圏を意識したことばで、
「サイノフォン=華夷風」(華語語系)という新しいことばが、その念頭におかれています。

 『華語文学の新しい風』には、中国、香港、東南アジア、さらにはアメリカ・シカゴの路地を旅したような気持ちにさせる珠玉の短編が収められています。
私が翻訳した作品は、白先勇の「シカゴの死」、哈金の「子供の本性」、劉慈欣「西洋」です。簡単にご紹介しておきますね。


小説「シカゴの死」:大学院修了と同時に目標を見失い、アイデンティティ・クライシスに襲われてシカゴの街を彷徨う中国出身学生の一日が描かれています。
詩 「子供の本性」:政治事件によって、米移住を余儀なくされた移民とその息子の心のすれ違いが描かれています。
小説「西洋」   :長編SF小説『三体』でアジア人作家として初めてヒューゴ賞を獲得した劉慈欣の歴史改変SFの傑作です。


私の授業「中国文学概論」でも受講生と一緒にこれらの作品を原文と日本語訳で読み進め、お互いの感想を話し合い、ディスカッションしています。とても楽しい授業です。
これからも文学作品の翻訳を続けていきます!

 

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