縫製スタジオ Studio Masachuka 代表の森川真彦氏が来学

イベント

2023.05.23

 5月10日(水)、イギリス・ロンドンを拠点に、日本の文化を融合させた独自のファッションを創出する縫製スタジオ Studio Masachuka(スタジオ マサチュカ)代表の森川真彦氏が来学しました。

 幼いころから世界の国々や文化に興味を持っていた森川氏は、2004年に熊本外語専門学校(熊本市中央区)を卒業後、本学の充実した留学支援体制を知り、英米学科に編入学。その際、指導を担当した堀正広教授(専門:英語学、文体論)のゼミに所属し、2006年にはカナダ・カールトン大学に約1年間留学しました。

 洋服が好きで、服を作ることも好きだった森川氏は卒業後、シンガポールにある日系企業に就職するも、独立のため離職。熊本に戻って友人とファッションブランドの設立を試みましたが、技術の無さを痛感し、洋服づくりを学ぶため、(有)ベネローゾ(熊本市北区)に就職しました。そこで3年間洋服づくりを学んだ後、2011年にワーキングホリデー制度を活用してイギリスの縫製工場でマネジメント役を担う傍ら、友人と自己ブランドを立ち上げ、2012年にStudio Masachukaをオープンしました。

 2022年には、UNIQLO UK(英ユニクロ)から、幾何学模様などを縫い込んで布を繕い、補強する日本の伝統技術「刺し子」を取り入れた洋服のリペアサービスを開始したいと依頼をうけ、「リ・ユニクロスタジオ」として店舗の一角でコラボレーションを開始。和の風合いをいかした刺し子の技術で服を再生し、長く使えるようにするこのサービスは、サステナビリティ―(持続可能性)に関心が高い欧州で瞬く間に人気を博し、現在ヨーロッパではイギリス、ドイツ、デンマーク、イタリア、スペイン店の計5か国で展開。今後もさらに多くの国々に拡大を予定しています。

 また、今年の2月にはBritish Fashion Council (英国ファッション協議会) の代表として、イギリス国王および王室主催のアジア人コミュニティー向け祝賀会に招待され、参加者350名のなかから、別室で英国王チャールズ3世やロイヤルファミリーと直接面会できる、約20名にも選ばれました。

 今回は卒業後初の来学となり、「これまでお世話になった方々に感謝を伝えたい」との思いから、堀教授との再会が実現。堀教授は「『洋服作りがしたい』という、明確なビジョンがあったからこそ、どんな困難も乗り越えてこられたと思う。日本では刺し子などの伝統技術の後継者不足が問題になっているが、このような形で世界中に広まることで、日本の子どもや若者たちにもその良さが伝わると思う。これからも森川君の活躍が楽しみ」と喜びを語りました。

 森川氏は「クマガクに編入学したことが人生の原点。海外に出ると新たな人との出会いや発見があり、そこから日本の文化の素晴らしさに気づける。自分が『やりたい』と思う気持ちを大切にして、留学など、興味があることに挑戦して経験値を増やし、視野を広げてほしい」と学生へエールを送り、「将来は日本の文化を洋風に落とし込み、作り手が見えるような空間で、直接洋服を購入できるようなショップを作りたい。そこからモノづくりと日本文化の発信を続けられるような、独自のブランドを展開していきたい。日本にも製造拠点を持ち、人材育成にも力を入れられたら嬉しい」と今後の展望を話しました。

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