公開講座 第31期「DOがくもん」第1回講演会を開催しました

イベント

2023.08.10

 8月5日(土)、本学と株式会社熊本日日新聞社が共催する第31期「DOがくもん」の第1回講演会が本学14号館高橋守雄記念ホールで開催されました。講師に東京大学先端科学技術研究センター講師兼軍事アナリストの小泉悠氏を迎え、「ロシア・ウクライナ戦争とプーチンの野望」と題して講演。約500名が聴講しました。
 講演で、小泉氏はロシア・ウクライナ戦争の情勢について、旧ソ連のなかで最も人口が多いロシアと第二の人口を誇るウクライナの歴史的背景に触れ、ロシアの侵攻を容認できない自身の立場を主張。「ロシアの言い分を踏まえたうえでも、ロシアが行った民間人殺害などの残虐行為は、人間として許すことはできない」と語りました。加えて、「この戦争が終戦を迎えた時どれだけの人が亡くなったかを考えると、その恐怖は計り知れない」と述べました。
 また、ウクライナを支援するアメリカの立場についても言及。「核の脅しをかけてくるロシアと第三次世界大戦に発展しないように、バランスを取りながらの支援が求められる」と説明しました。
 さらに、ロシアのプーチン大統領がウクライナへの侵攻を指示した動機について、プーチン大統領が記した論文「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」の内容を紹介しながら推測。小泉氏は名誉と恐怖が侵攻開始の根源であるとし、「プーチン大統領は、もともと同じ民族だったウクライナ人がアメリカをはじめとする西側諸国寄りになっていることに納得していない。ナショナリズムと西側への不満・屈辱感がもととなり、巨大で強いロシアを取り戻したいという野望につながっている」と述べました。
 最後に、同戦争が日本に与える影響についても語り、「日本は、ロシア・中国・北朝鮮という核保有国に囲まれた地理的に難しい場所に位置する国。今は無風状態だが、この戦争がどういう帰結を迎えるかによって日本の安全保障にかかわってくる。現在、ロシアは世界一経済制裁を受けているが、この戦争は放っておくとロシア優勢に傾いていく。長期化するであろうこの戦争の終焉が、ロシアの侵攻失敗でない限り世界に禍根を残すことになるだろう」と結びました。

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