社会福祉学部主催「当事者・実践者による寄付講座Ⅰ」がスタート

イベント

2023.10.03

 9月29日(金)、14号館1421教室で社会福祉学部が主催する「当事者・実践者による寄付講座Ⅰ」が開催され、学生や地域住民の方、合わせて約30名が参加しました。これは、地域にも開かれた「公開講座」として同学部における現場主義と当事者を重視する教育を一層発展させる目的で行われたもの。今回は、熊本県内の約30のしょうがい者団体などによって構成される横断的組織「熊本障害フォーラム」の全面協力のもと「しょうがいのある人と支援者の日常の暮らしと思い」を共通テーマとし、1コマ90分の講義を全11回実施する予定で、10代から70代まで約35名の申し込みがありました。

 開講の挨拶で高林秀明社会福祉学部長は、「本学はこれまで地域の方々から支えられ教育や実習を行ってきました。今回もさまざまな団体の皆さまにボランティアでご協力いただき、公開講座を開催できることを嬉しく思います。社会福祉の分野で新たな試みを考えるなかで、当事者・実践者との連携を大切にし、その声を教育に取り入れることが社会福祉学部の使命と考えました。これからも、当事者・実践者の声に根ざした教育を推進してまいります」と述べました。

 初回は、講師として特定非営利活動法人自立生活センターヒューマンネットワーク熊本代表の日隈辰彦氏が登壇し、「横断的つながりの力」をテーマに講演。日隈氏は、2006年に施行された障害者自立支援法で利用者負担(応益負担)が導入されたことを受け、利用者負担軽減を目的に市内の76団体が集結し、熊本市との交渉で独自の負担軽減を実現した実績を説明しました。「異なる立場の団体でも共通の課題があれば協力できることを実感し、横断的なつながりの力を発見した」と熊本障害フォーラムの成り立ちを紹介。また、自身も全身の神経に炎症を起こす多発性神経炎で視覚にしょうがいを持ち、車いす生活のなかで熊本地震後の住環境整備の際に受けた差別経験について言及し、差別解消法や合理的配慮、さらに個々のしょうがいや悩みを理解し、協力し合うことの重要性を呼びかけました。

 参加した熊本市在住の40代女性は「講師の経験談からしょうがいを持つ方への理解が深まりました。今後は自身が勤務する住宅メーカーで、高齢者やしょうがいを持つ方のための家づくりにいかしていきたい」、ライフ・ウェルネス学科3年の八重美桜さんは「講師が代表を務めるしょうがい者相談支援事業所でソーシャルワーク実習を受け入れていただき、今回の講座の受講を決めました。さまざまなしょうがいがあり、自分が知らないと当事者やそのご家族への理解や支援もできないので、今後の講演で多くの知識を得ることが楽しみです」と感想を述べました。

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