令和5年度秋期公開講座「半導体産業とくまもとの未来」が開講しました

イベント

2023.10.16

 10月7日(土)、新1号館 みらい121教室で令和5年度秋期公開講座が開講しました。「半導体産業とくまもとの未来」と題し、10月28日(土)まで全4回開催される予定で、初回となる今回は、熊本県産業振興顧問で熊本県プロフェッショナル人材戦略拠点マネージャーの今村徹氏が登壇し、53名の聴講者の前で「半導体関連ビジネスの基礎」をテーマに講演しました。
 講座の開講にあたり、公開講座運営委員長の外国語学部土井浩嗣教授が「半導体受託生産最大手のTSMC(台湾積体電路製造)の熊本県進出や台湾との直行便の開設など半導体や台湾に対する関心が県内で高まっている。これらが生活のなかに多くの変化をもたらすことが予想されるなかで、今期の公開講座がこれから訪れる大きな変化についてみなさんで考える機会になれば」と挨拶しました。
 今村氏は、熊本におけるこれまでの半導体の歴史について触れ、「半導体は産業界だけでなく、社会でなくてはならないものになっている。DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現には半導体が必須。その需要はこれからますます増大するであろう」とその重要性を語りました。また、実際に利用されている半導体の種類や用途について、車やパソコン、スマートフォンなど実例とともに説明し、ソニーや三菱電機などそれぞれの種類の半導体製造を得意としているメーカーについても紹介しました。さらに、半導体産業の分業化についても言及し、「1つの企業ですべてを製造する垂直統合型より、設計・前工程・後工程など複数の企業で分業して製造する水平分業型の方が稼働損が生じないためコストを安く抑えることができる。そのため、現在の半導体産業は水平分業が主流。半導体産業はグローバルに存在する数百の企業が複雑につながり、連携し合うことで実現する」と述べ、TSMCの熊本進出に伴い、今後さらに半導体に関連する企業が増えてくるだろうと語りました。また日本の半導体産業が停滞しているのは水平分業に乗り遅れたためと説明し、日本の半導体産業の問題点を指摘しました。最後にTSMCが進出する熊本県の未来予想について述べ、「熊本県を中心とした九州でシリコンアイランドの再興が実現し、熊本県が日本の経済安全保障を左右する重要地域になる。今後高度半導体人材育成体制が整備されることで、若者の流入が促進され、人口減少を抑制し、地方創生のモデル地区となるだろう」と締めくくりました。
 受講者からは「日本はなぜ垂直統合にこだわったのか」「TSMCの半導体製造に伴って使用する地下水は足りるのか」「半導体産業に求められる人材とは」など多くの質問が寄せられ、講座は盛会のうちに幕を閉じました。

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