ビジネススクール「くまもと県南フードバレー『経営塾』(第三期)」で商学部吉川勝広教授が登壇

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2023.11.15

 11月8日(水)、本学と包括的連携協定を締結している株式会社熊本日日新聞社が共同で企画・運営する「くまもと県南フードバレー『経営塾』(第三期)」(主催:熊本県)の第3回講義がフードバレーアグリビジネスセンター(八代市)で開催され、商学部の吉川勝広教授(専門:マーケティング論)が「マーケティング戦略」をテーマに登壇しました。
 吉川教授は、「マーケティング・ミックスとデジタルマーケティング」と題し、マーケティング戦略のノウハウを解説。STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)や4P(Product、Promotion、Place、Price)などのマーケティングの基本概念を組み合わせる「マーケティング・ミックス」の重要性について説明し、「自社がめざす製品差別化のためのポジショニングを実現するためには4Pの各要素がそれぞれで適切なのではなく、4Pが全体として適切に消費者に対応しているかどうかが重要である」と述べました。また、具体的な事例として、ネスレ社が製造するチョコレート菓子「キットカット」を紹介。チョコレート菓子市場で他社商品と激しい競争を繰り広げるなか、「きっと勝つ」との語呂合わせで「受験生応援キャンペーン」として「キットカット」を売り出し、商品の機能的価値(ウェハースチョコやサクサクとした食感など)で顧客満足を高める手法ではなく、受験ストレスからの解放という新たな情緒的価値を起点に顧客創造を図った事例について言及しました。
 さらに、インターネットやSNSの普及による消費者行動の変化に伴い、企業に「デジタルマーケティング」の考え方が生まれたことについても触れ、「これまでは企業からの発信という一方向であったが、企業と顧客が協働して製品を作り上げていく形ができた。企業中心の考え方である4Pから顧客中心の考え方である4C(Co-Creation、Currency、Communal activation、Conversation)を大切にし、消費者がどのような企業であれば仲間として協働したくなるかを考える必要がある」と述べました。
 最後に、口コミやインフルエンサー、共同格付けなどを活用したプロモーション活動の注意点についても言及。テレビや新聞など費用を支払って広告するペイド・メディア、企業のウェブサイトやSNSなどのオウンド・メディア、消費者がWeb上で発信する口コミなどのアーンド・メディアを使い分けることが大切とし、「消費者の認知・検討・行動・推奨のどの段階に効果があるかを考えて発信することで、より効果的なプロモーションを展開できる」と語りました。
 八代市で中華料理店を経営する有限会社八代飯店の有田義教代表取締役は、「感覚としては電気製品を使っていたが、改めてその取り扱い説明書を読んで納得したような感覚。理論として整理しておくことで時間短縮にもなると感じた。料理を作る時間だけでなく、プロモーションなどの情報発信の時間も確保していきたい」と受講した感想を語りました。
 「くまもと県南フードバレー『経営塾』(第三期)」は計6回行われる予定で、12名の受講者が2月中旬まで受講します。

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