【教員が紹介する!おすすめの本】『見るだけで「儲かるビジネスモデル」までわかる 決算書の比較図鑑』矢部謙介著、日本実業出版社(2021年)

おすすめの本

2024.02.28

熊本学園大学商学部教授 小谷学

おすすめの理由

 決算書は企業の姿を映し出す重要な資料ですが、専門用語が並んでいること、細かな数字で記載されていること、そして簿記の手続きによって作成されていることから、それを理解するのは容易ではありません。商学部では決算書の作り方から読み方へと順を追って学んでいきますが、社会人にとっては学生と同じように学習するだけの余裕がない場合も多いでしょう。「決算書の作り方はさておき、とにかくそれを使えるようになりたい」というのが、多くの社会人の正直な気持ちではないでしょうか。本書はそんなニーズに応える一冊だと思います。細かな所をばっさり切り落とした図(比例縮尺財務諸表)を用いながら、企業の姿をわしづかみにし、読者に「わかった感」を提供してくれる所が本書の特徴です。

 

本の紹介

 この本は5章から構成されています。第1章では、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書といった財務諸表の見方について、実例を用いて解説されます。あわせて、本書を通して用いられる比例縮尺財務諸表(金額の大きさに比例した面積を割り当てて図示した財務諸表)というツールが紹介されます。第2章では、小売・流通業界の企業を対象に分析が展開されます。一例として、百貨店業界に属する丸井グループと三越伊勢丹ホールディングスの決算書比較を通して、百貨店の新たなビジネスモデルについて言及されています。第3章のターゲットは、外食業界などです。具体的には、サイゼリヤ、ブロンコビリー、および壱番屋を対象に、直営店方式とフランチャイズ方式の特徴に注目した考察が行われています。第4章では、任天堂、第一三共、トヨタ自動車など、日本を代表するメーカーが取り上げられています。ただし、一口に製造業といっても、決算書から見えてくる姿は大きく異なることがわかります。最後の第5章は、いわゆるGAFAに焦点を当て、世界を席巻するこれらの企業にはどのような特徴があるのかを探ります。以上のように、本書では豊富な実例をもとに、着眼すべきポイントが紹介されていますので、読者は楽しみながら決算書分析の要点を押さえることができるでしょう。

 

 

タイトル 見るだけで「儲かるビジネスモデル」までわかる 決算書の比較図鑑
著者名 矢部謙介
出版 日本実業出版社(2021/10)
ISBN 9784534058836

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