第32期「DOがくもん」第1回講演会「TSMCはなぜ熊本を選んだのか?」を開催しました

イベント

2024.05.15

 4月27日(土)、本学と株式会社熊本日日新聞社が共催する第32期「DOがくもん」の第1回講演会が本学14号館高橋守雄記念ホールで開催されました。「TSMCはなぜ熊本を選んだのか?~30年間の取材をもとに台湾人ジャーナリストが明かす半導体最強企業の“ヒミツ”~」と題し、経済ジャーナリストでコラムニストの林宏文氏が登壇。371名が聴講するなか、台湾の世界的半導体メーカーTSMC(台湾積体電路製造)について語りました。
 新刊「TSMC 世界を動かすヒミツ」を執筆した林氏は講演で、TSMCが熊本県に拠点を構えた理由について述べ、「熊本県は、豊富な水資源とクリーンエネルギーを確保できることはもちろん、SONY、ROHM、MITSUBISHIELECTRICなどの大企業が工場を構えているため半導体産業の人材供給力に優れている。電気自動車産業の基盤もあり、今後もさらに半導体の需要が期待できる」と語りました。また、台湾と日本それぞれの産業の特徴や職業観にも触れ、「台湾は中小企業主体で製造や決議にスピード感があるが、長期の研究開発力が弱い。対して日本は大企業中心で製造や決議はスピード感に欠ける一方で、企業の力や長期研究力が強いため、日台は相互補完性が高い。ここぞという時には一緒に残業するなど仕事への態度や倫理観も似ている」として、日本と台湾の相性の良さを紹介しました。
 また、TSMCがここまでの大企業に成長した企業文化についても言及し、「TSMCの企業文化として、誠実さと正直さをもとに約束を絶対守るという点があげられる。製造業のなかにサービス業を取り込み、場合によっては顧客をライバルのサムスンに紹介するなど顧客ファーストの考え方が根づいている。それに加え、どの会社にも負けないという競争意識が強く、高い研究開発意識がある」と述べました。
 最後に、半導体産業を土台とした台湾と九州の将来について、「台湾も九州も1000を超える半導体関連企業が存在している。今後も台湾と九州の半導体関連での人材育成、技術開発、学術交流など多面的な日台経済交流を進め、九州は日台交流の最先端をいくプラットフォームになるべき」と結びました。
 講演後は、本学外国語学部の田上智宜准教授(専門:台湾地域研究)と同書の監修者である大東文化大学の野嶋剛教授も加わり、TSMCの生誕や熊本県進出、台湾文化についてトークセッションが行われ、それぞれが台湾で経験したことや感じたことをもとに意見交換が行われました。
 会場では、2024年台湾東部沖地震救援のための募金と、「TSMC 世界を動かすヒミツ」の販売も行われ、募金と収益金を合わせた9,210円が救援金として日本赤十字社に送られる予定です。

SHARE: