付属海外事情研究所「 2024年度第1回研究会」を開催しました

イベント

2024.05.29

 5月17日(金)、本学付属海外事情研究所が主催する「2024年度第1回研究会」が1222教室で開催され、社会福祉学部の学生や教員および地域住民の方など約300名が参加しました。研究会では、財団法人友縁基金会理事長の廖清碧氏が登壇。「ヒューマン・サービスのマインドセット―台湾での児童家庭福祉の経験を通して―」というテーマで講演を行いました。廖氏は、1984年に私財を投じて同財団を設立し、台北市街地に児童センターを開設しており、それ以来、40年間にわたり台湾の家庭児童福祉の政策と実践を牽引し、子育て支援や障がい児の発達支援に取り組んでいます。

 講演で、廖氏は「児童人間関係」、女性のさまざまな悩みに寄り添う「女性成長グループ」、困り感を抱く親を支援する「親のグループ」の各事例を交えながら、対象者への具体的な支援方法を解説しました。廖氏は、子どもたちの問題が発生した際に、子どもたちが主体となってディスカッションを行い、けんかした時の気持ちを話し合ったり、遊びのアイディアを出し合うことで社会性を養う方法を紹介。また、親のグループ支援については、ロールプレイを通じて支援方法を模索し、子どもに暴力を振るう親には政府が介入し、親の教育やロールプレイを通じて適切な育児方法を学ばせる取り組みを挙げました。さらに、発達支援の事例では、「問題行動よりも子どものニーズを捉える」ことが大切であるとし、家庭環境を改善するために親へのアセスメントのプロセスを説明しました。

 また、ソーシャルワーカーの技法として、クライエントへの聞き取りや表情などの非言語情報をとらえる重要性について言及。さらに、さまざまな写真を用いて対象者が自己解釈を行い、支援者に支援方法を伝える「ソウルコラージュ」などのアクティブな支援方法を紹介し、学生とともに実演する場面もありました。

 講演後の質疑応答では、「家庭福祉に対する台湾政府の対策」や「日本と台湾の親の違い」についての質問があり、廖氏からは台湾政府の政策や、日本人と台湾人の親の気質の違いについて紹介がありました。

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