令和6年度秋期公開講座が開講しました
2024.10.10
10月5日(土)、新1号館みらい121教室で「アジアの風土と社会」をテーマに令和6年度秋期公開講座が開講しました。本講座は10月26日(土)までの全4回を予定しており、初回となる今回は、外国語学部の圡井浩嗣教授(専門:朝鮮近代史、農業史)が登壇。「朝鮮半島の風土の『発見』」と題し講演を行い、54名が参加しました。
講座の開講にあたり、公開講座運営委員長でもある圡井教授が「今回取り上げるアジア世界は、東は日本から西はトルコに至る広大な空間であり、このうち中国雲南、モンゴル、朝鮮半島に焦点を当て、そこで生きる人々の暮らしや社会・文化を、『風土』をキーワードに紹介するとともに、私たちが暮らす日本や熊本の風土について、改めて見つめ直す機会にしたい。本講座を通して、広いアジアを旅し、そこで暮らす人々の営みにおもいをはせる、そのような時間にしていただければ」と挨拶しました。
続く講座では、圡井教授が和辻哲郎の風土論を取り上げ、風土の概念を解説。講義では、モンスーン、沙漠、牧場の3つの風土類型を紹介し、それぞれの地域における自然環境と人間の営みの関係を説明。また、風土は単なる自然環境にとどまらず、歴史や文化が重なり合い、深い意味を持つものであることを示しました。
次に、農耕文化の視点から、朝鮮半島の風土について説明。朝鮮王朝時代の農業発展や、日本統治下における植民地農政と風土の関係性についても触れ、日本の農学者たちが朝鮮の風土的特徴を発見する過程を紹介しました。最後に、身近な例として食文化に触れ、「韓国料理は今や私たちにとって身近な存在となっているが、朝鮮半島の風土を理解することで、その料理の特徴や背景を改めて『発見する』ことができる」と結びました。
受講者から、「朝鮮半島では現在でも畑作が主流か」「現地の方々は日本の農学者をどのように評価しているのか」といった質問が寄せられました。講演後も活発に質問する受講者の熱心な姿勢が伺え、盛況のうちに講座は終了しました。