国際シンポジウム「台湾の詩人 楊牧―花季の鈴音」を開催しました

イベント

2025.03.31

 3月15日(土)、熊本学園大学新1号館で、台湾の詩人・楊牧をテーマとした国際シンポジウム「台湾の詩人 楊牧―花季の鈴音」が開催されました。台湾の國立東華大學、國立清華大學、國立台北教育大學、駒澤大学、同志社大学、東京大学、広島大学、そして本学から総勢14名の日台の文学研究者が参加し、研究発表を行いました。

 会の冒頭では、東華大學楊牧研究センターの許又方教授から、本学との共同開催を記念して『楊牧全集』が本学に寄贈されました。また、隣接する会場では、台湾に関する小説や詩集、写真集など台湾の文学や映画に関する資料が展示されました。

 各セッションでは、楊牧の詩を「夢・魂・故郷」という視点から再読する試みや、葉珊の詩における時間の表象を「永遠」と「流逝」、ロマンと現実から読み解いたもの、楊牧の散文と漫画化された『Oken:詩の端緒』を叙事の再構築、文化的な翻訳という視点から考察したもの、日本の浮世絵と楊牧詩を比較したものなど、多様な視点からの研究報告が行われました。さらに、生態系・環境保護・ジェンダー・食・都市・政治・地域文化・旅行など、多岐にわたる題材の散文を編纂した編集者としての楊牧に注目した研究も発表されました。

 楊牧とその詩業をケーススタディとして多角的な視点から議論が繰り広げられ、東アジアの多様な文化や歴史が可視化されるとともに、文学の現代的な意義が再確認され、意義深い国際シンポジウムとなりました。

※楊牧(1940-2020):台湾を代表する現代詩人のひとり。1940年、台湾東海岸の花蓮に生まれ、初期は葉珊の筆名でロマン主義的な抒情詩を発表し、その後は多彩な作風で散文、戯曲、翻訳などの多分野で活躍。楊牧の詩は、故郷花蓮の自然を創作の根幹にもち、追憶の「台湾」が想像豊かに描きだされている。世界的に活躍する華人作家に贈られる花蹤世界華文文学賞、台湾の国家文芸賞など受賞歴多数。2020年には蔡英文総統(当時)から褒揚令が授与された。

 

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