経済学部「国際政治学I」でジョージタウン大学の樋口敏広准教授がゲスト講義
2025.07.25
7月22日(火)、「新1号館みらい」121教室にて、アメリカ・ワシントンD.Cのジョージタウン大学外交学部樋口敏広准教授を講師に迎え、ゲスト講義が開催されました。本講義は、経済学部で開講されている「国際政治学I」(担当:向井洋子教授)で、これまでの講義をふまえて生じた疑問や質問を、アメリカ在住の研究者に直接質問し、教示を得ることを目的として実施されたもの。当日は、経済学科およびリーガルエコノミクス学科の学生、約100名が受講しました。
学生からは、「アメリカの選挙結果は国際社会や日本の外交政策にどのような影響を与えると予想されますか?」、「ウクライナは核兵器の保有を放棄しましたが、もし現在も保有していたらロシアとの戦争は起こらなかったと思いますか?」といった質問が出されました。
これに対して樋口准教授は、「来年のアメリカ下院選挙では民主党が勝利すると予測している。ただし、だからといってすぐに日本に影響が及ぶわけではない。唯一、大きく変わる可能性があるとすれば関税政策。多くのアメリカ国民はトランプ大統領の関税措置に嫌悪感を抱いており、民主党が政権を握れば、トランプ関税が引き下げられると予想している。実はアメリカでは、選挙への関心はそれほど高くない。そのため、選挙結果が外交政策に大きな変化をもたらすとは限らない。むしろ、選挙結果そのものよりも、トランプ大統領の思想や動向に注目すべきだ。あくまで憶測の域を出ないが、あと2カ月もすれば、トランプ関税に大きな変化があるかもしれない」と述べました。
さらに、「ソ連が崩壊した際、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタンには核兵器が残されていたが、ウクライナはそれをロシアに返還した。ウクライナが核を返還しなければ今回のような状況は起きなかったのではないか、という意見もある。しかし、仮に返還していなければ、逆にロシアに侵略されていた可能性もあり、北朝鮮のように国際社会から孤立していた可能性もある。核を放棄したからこそ、今回の侵略に対してEU諸国などが支援を行っている。核兵器については、持っていた方が良いのか、それとも持たない方が良いのか、非常に難しい問題だ。核を保有するには長い時間と高いリスクが伴う。『ウクライナが核を持っていればよかった』というのは思慮が浅い考え方だ」と自身の見解を述べました。
受講した学生たちは、樋口准教授の話に真剣な眼差しで耳を傾けていました。