秩父市議会文教福祉委員会が行政視察のため来学しました

大学

2025.10.30

 10月23日(木)、埼玉県秩父市議会文教福祉委員会の議員5名と職員1名の計6名が、視察研修のため本学を訪れました。同委員会は、秩父市議会に設置されている常任委員会の一つで、教育・文化・福祉の分野における市の施策を専門的に審査し、他自治体の先進事例の調査などを通じて、現場の課題を把握し、市の対応を議会として検証することを目的としています。今回は、市議の中から「災害時に要支援者をどのように受け入れるのか、そのノウハウを学びたい」と希望があり、本学に打診のうえ、実施されたものです。

 はじめに、2016年の熊本地震発災後に避難所として開放された14号館高橋守雄記念ホールで、社会福祉学部の黒木邦弘教授(専門:ソーシャルワーク論)の講話が行われました。 「2016年熊本地震におけるインクルーシブな避難所運営の実践」と題し、被災当時の状況を振り返りながら、指定避難所ではなかった本学が地域住民の自主避難を積極的に受け入れ、最大で約750名を支援した経緯を説明。そのうち約60名が障害者や高齢者など特別な配慮を要する方々であったことに触れ、教職員が一体となって支援体制を整えた経過を紹介しました。

 続いて、災害対策本部の運営に携わった井上博司事務局次長(当時総務課長)から、学内の危機管理体制や初動対応について説明がありました。地震発生直後に危機管理委員会のもとに災害対策本部を設置し、安否確認・施設復旧・授業再開準備・学生支援など、7つの班を立ち上げて迅速に対応したことを説明。「地域のなかの大学」として、社会福祉学部の教員を中心に事務局が連携しながら避難所運営に当たったことが紹介されました。

 黒木教授は、「どなたでもどうぞ」の原則(花田昌宣教授・提唱)のもと、障害の有無や年齢、生活状況に関わらず安心して過ごせる環境づくりに努めたこと、障害のある方への合理的な配慮を重視した運営を行ったことなどを強調。黒木教授は最後に、「平時から“誰もが集える場所”を想定して建物や体制を整えることが重要」と述べました。また、東日本大震災以降、本学の学生が県内外のボランティア活動に参加してきた様子を紹介。行政には、学生の活動を支える財政的支援や宿泊環境の整備について検討していただきたいと述べました。

 講話終了後は、被害の大きかった総合体育館や教室棟を視察し、最後の質疑応答では、「行政から震災後に避難所としての要請はあったのか」など質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。参加者からは、「大学としての柔軟で迅速な判断と地域との連携に学ぶ点が多い」といった感想が聞かれました。

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