商学部のゲスト講義「ベンチャー支援実務」で株式会社StapleBio代表取締役CEOの谷川清氏が登壇

学び

2025.01.07

 11月18日(月)、1411教室で商学部の2024年度新設科目である「ベンチャー支援実務」(担当:新改敬英准教授)の第8回目ゲスト講義が行われ、株式会社StapleBio代表取締役CEO(最高経営責任者)の谷川清氏が登壇し、学生21名が受講しました。このゲスト講義は、肥銀キャピタル株式会社(以下、肥銀キャピタル)の寄付講座として実施されるもので、熊本・九州を代表するスタートアップ企業の経営陣を招き、起業家を支援する「経営メンバー」「投資家」「金融機関」でのキャリアと必要な心構え、スキルについて実践的に学びます。

 はじめに、谷川氏は「『ベンチャー』を辞書で調べると『危険』『冒険的事業』などの意味がある。船に例えると、小回りが利くが、大きな波が来ると転覆してしまう、というイメージをお持ちの人もいるのでは。一方で、GoogleやApple、Amazonは現在では誰もが知る大企業だが、最初はガレージからスタートしたベンチャーだった」と述べ、ベンチャーから大企業へ成長した事例を挙げました。また、谷川氏は「中小企業はリスクは低いけれど、一般的に成長も緩やかである。一方でベンチャーはリスクは伴うが、成功すれば業績も跳ねあがる」と述べ、ベンチャーの特徴である「Jカーブ」と呼ばれる成長曲線について解説。さらに、ヘルスケア領域においてもベンチャーによる技術革新が必要であると言及しました。その理由として高齢化と希少疾患の課題を挙げ、谷川氏は「高齢化が進むなかで医療・健康・介護の問題が深刻化しており、既存の会社だけでなく新しいイノベーションを生み出すベンチャーが必要。また、世界には7000種類の希少疾患があるものの、治療薬が存在するのはわずか5%。治療薬は大企業が作ると思われがちだが、世界で開発されている薬のうち約80%がベンチャーで開発されている」と説明しました。また、創薬エコシステムについて、日米の違いを紹介するとともにその必要性についても言及しました。

 最後に、谷川氏は、次世代核酸医薬技術 「Staple核酸」 を用いた医薬品の研究開発に取り組む、熊本大学発ベンチャーである同社の概要や設立の経緯などを紹介。谷川氏は「Staple核酸で、これまで治療できなかった希少疾患やパンデミック感染症などに対して迅速に治療薬を提供することをめざしている」と述べ、同社の取り組みについても説明しました。

 また、本ゲスト講義の進行役である肥銀キャピタルの松尾彰文氏が、「皆さんの周りにも創薬のベンチャーは身近に存在しており、実は遠い世界ではない。また、研究開発以外にも会社を運営していくにはビジネス戦略が必要であり、それを谷川社長が担っている。会社に必要な役割は他にもあるように、皆さんが活躍する場はたくさんある」と述べ、講義を締めくくりました。

 

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