在学生
クマガクフォーカス KUMAGAKU
FOCUS
しょうがいのある当事者としての言葉で
福祉や障害理解教育活動を実践
第一部 社会福祉学科4年
熊本県/黒石原支援学校出身
佐藤 萌さん
Sato Hajime
学内外で手話の通訳や講師として活躍
第一部社会福祉学科に通う佐藤さんは、皮膚や関節などに強い症状が現れる難病エーラス・ダンロス症候群(EDS)により、中学生のころから車椅子での生活を送っている。「クマガクに通い始めたのは、中学生の時にスクールソーシャルワーカーの方が、クマガクのしょうがい学生支援室に連れてきてくれたことがきっかけです。しょうがいがあっても大学で学べると分かり、嬉しかった」と語る佐藤さん。そんな佐藤さんが精力的に取り組んでいるのが、しょうがいのある当事者だからこそできる、福祉・障害理解教育を通して福祉に興味を持ってくれる人を増やす「種まき」みたいなものだ。中学生のころから勉強している手話をいかし、手話通訳や手話の講師、さらには大学の手話サークルの立ち上げにも携わるなど、積極的に活動している。
小学校での講演の様子。しょうがい者に対して差別や排除・偏見で関わるのではなく、課題解決への想像力や福祉的心情の育成をめざす
自分を障害理解教育の「生きた教科書」として
大学で福祉を学ぶ一方、人々に手話を教える日々のなかで、「自分のようなしょうがいのある当事者が子どもたちや学生、そして地域の方々に福祉やしょうがいについて教える方が、効果があるのでは」と気づいた佐藤さん。「しょうがい者の実情やリアルな感情を知る自分だからこそ、『生きた教科書』として伝えられることがある」と感じ、地元の小中学校や社会福祉協議会などに招かれては、福祉や障害理解について講演などを行うようになった。「しょうがいとは何か?」「福祉は誰のためのもの?」について、当事者として伝える言葉は参加者の心に響き、「看護師や社会福祉士をめざしたい」と言ってくれたときはとても嬉しかったと語る佐藤さん。講演がきっかけで「自分も福祉の対象者だ」と気づいた児童もおり、教育現場や福祉との懸け橋になれたことも。「自分が行っているのは、本当の障害理解教育、そして福祉教育は種まきだと思っています」と、自身の活動の意義を語る。
卒業後はソーシャルワーカーとして働きながら、福祉に関する研究も続けていくという佐藤さん。残りの大学生活で、共生社会の実現をめざすために自らの学びと思想をより高めながら、しょうがい者の孤立を未然に防げるような活動をしていきたいと、目標を語ってくれた。
公民館での手話講座の様子。福祉やしょうがい者支援への関心を高めるべく、奮闘している
(2024年9月取材)
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