新聞広告「去りゆく君へ。」 episode.7 突破する人

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一度大学を離れて 世界を、自分の心を見つめ直した。

「働くってなんだろう? 自分ってなんだろう?」。就職活動中に、下田恭平さんはひとり立ち止まった。休学をきっかけに渡豪し、民泊サービス「airbnb」に出合ったことから、在学中に長屋をフルリノベーションした宿を熊本市に開業。現在はその経験をベースに、「場づくり」に関する旗振り役のサポーターをおこなっている。「思い切って荷物を捨てたから見えたものがある」。大学を離れ、世界を、自分を見つめなおした2年間は、彼にとってはかけがえのない時間だった。

休学を決めたきっかけは何ですか?

就職活動中、自分が社会に出てサラリーマンとして働く…というイメージがどうしてもつかなくなって。「そもそも自分は何者なのか?何がしたいのか?」をまったく見つけられていないまま始めた就職活動だったので、当然といえば当然なんです。焦りや見えないプレッシャーから心がふさぎがちになり、思い切って気持ちを切り替え、大学3年のときに休学をしました。

 

何がその決意の後押しになりましたか?

大学時代の休学期間って、学生にとってめちゃくちゃでかい休みですよね。そこでバイトや交友関係、予定…何かしら常に背負ってる“荷物”がゼロになったことで、すごく身軽になりました。そしてこのタイミングで、前々から行きたかった海外に行こうと決めました。初めて長期で考える時間ができたことで、この期間を使って失敗してもいいやって思えたんですよ。 “人生ゲームの一回休み”みたいな状況になったんです。行きたいところもたくさん、会いたい人もいっぱいで、初めて本当の意味で“自分を見つめる時間”をもてた気がします。あと休学中、授業料を払わなくていいところも大きかった。そのおかげで、思い切って立ち止まることができたんです。

そこから起業までの流れを教えてください。

1年目は、フィリピンのセブ島で日系ベンチャー企業のインターンシップを経験。2年目は、オーストラリアの高級ホテルに住み込みで働き、英語のスキルを磨きながら起業資金を貯めました。旅するなかで出会った人の親切さ、やさしさに触れて、自分も「誰かが喜ぶ“おせっかい”をしたい」という思いに気づいたんです。現地で利用した民泊が当時はまだ日本で浸透していなかったこともあり、これなら自分にもできるかもと思い、帰国して復学しました。そして在学中に起業し、シェアハウス「リバ邸熊本」や長屋をDIYした民泊施設「オビハウス」の運営をスタートしたんです。

 

現在のお仕事内容は?

その経験を軸に、いまは空間ディレクターとしてホテル、カフェ、キッチンカーなど「場づくり」における企画設計や集客支援、オペレーションの構築をしています。肩書きの定義って難しいんですが、僕は“立ち上げ後の伴走者”でありたいなと。4年生でクマガクに復学し、起業し、卒業したときは24歳。まだ全然若い。揉まれながらもさまざまなことに挑戦してきて、ある意味ぶれぶれだったからこそ(笑)、肩書きにとらわれない働き方ができてきたんじゃないかなと思います。

学生の皆さんにメッセージをお願いします。

僕はクマガクの学生団体「ぴあラボ」に足を踏み入れたことで、そのとき出会った友人に感化されて、やっぱり海外に行きたいと思い立ちました。そこで、民泊に出合ったことで人生が変わったといえます。学生の皆さんに伝えたいのは、やりたいことを重ねていったら好きが見えてくるということ。そこで見えてきたものがあれば、小さな一歩でも勇気をふりしぼって歩き出してほしいということ。そして、もっとぶれぶれで生きろということ。もし大学を休んででもやりたいことが見つかったなら、ぜひやってほしいと僕は思う。クマガクなら、絶対味方でいてくれます。

PROFILE
下田 恭平
Shimoda Kyohei
商学部経営学科(2020年3月卒業)