新聞広告「去りゆく君へ。」 episode.8 春の決意

新聞広告「去りゆく君へ。」 episode.8 春の決意

最後に見つけた夢を、大事に育てていきたい。

違うから、わかろうとすること。違うから、知りたいと思うこと。学内外で日本語を学ぶ留学生への日本語指導や自主企画イベントの開催・運営を通して、留学生に限らず学生たちの「困りごと」に寄り添ってきた竹原このみさん。“目の前の人の役に立ちたい”という思いを大事にし、行動に移したことで、世界がぐっと広がった。そして入学時には見つからなかった「日本語教師になる」という夢が、最後に一気に加速。これから飛び出していく広い世界で、生まれたばかりの夢のかけらを、大事に育てていくつもりだ。

「熊本ワールドワイド交流会」を企画したきっかけは?

熊本市市民公益活動支援基金「こども・学生ボランティア助成」の高校・大学生枠に応募し、採択していただき実現できました。クマガクで日本語教育を学ぶ「熊本学園大学日本語クラブ」として開催したもので、私はその学生リーダーを務めていました。クラブではこれまで「慶誠日本語クラブ」や「留学生プレゼン大会」などを開催していたんですが、コロナ禍の入国制限が解除され、留学生の受け入れが再開されたことで、もう一度海外の皆さんとの交流が復活するといいなと思ったんです。留学生たちがいつも留学生同士で交流しているのが気になっていて、その輪をどうにか広げたいなと。コロナ前にあった交流や関わりが本当に少なくなってしまったので…みんなが笑顔になるコミュニケーションの場をつくれたらと思い企画しました。

 

具体的な内容を教えてください。

1回目は熊本県産の米粉を使ったスコーンづくり(2022年9月)で、2回目はフィンランドのシナモンロールづくり(2022年11月)を行いました。クマガクの学生と留学生の皆さん、慶誠高校の留学生の皆さん、尚絅高校の皆さんや留学生を受け入れているホストマザーが参加してくださり、とても盛り上がりました。アメリカ、カナダ、オーストラリア、セネガル、フィンランド、スウェーデン、タイなどさまざまな国の方が集まり、一緒に料理をしながら、いろんな話をしました。日本語の勉強や交友関係のことなど、留学生たちがいま不安に思っていることや困っていることを拾い上げることができたので、やはり皆さんに寄り添い、信頼関係を築きながらサポートしていくコミュニティの必要性を感じました。

イベントではどんなことを大事にされましたか?

意識したのは、“誰のこともひとりにしない”場づくり。常にみんながみんなのことを気にかけて、同じ輪のなかにいるという雰囲気をつくりました。イベント後に遊びの約束をしたり、SNSのアカウントを交換したりと、「また会える」という約束を交わせたことがよかったと思っています。

 

留学生の方に日本語指導を行っていたと聞きました。

セネガル人の彼女(ジョバ)の母語はフランス語。翻訳アプリで、英語・フランス語・日本語の3カ国語をどうにか使いながら、2人で会話していましたね。彼女は英語が話せるわけじゃないけど、“完璧じゃないこと”を恥ずかしがらないんです。私たち日本人はどうしても、ことばが伝わらなかったら恥ずかしいと思ってしまいがちですよね。でも彼女の“まずやってみる”“思いを伝えてみる”という姿勢をいつも見習いたいと思っていました。読み書きもずいぶん上達して、役に立てたことがうれしいですね。

ここで出合った夢について教えてください。

私は特にやりたいことや夢を見つけられないままクマガクに入学し、最初は「何か見つかればいいな」くらいの気持ちだったんです。4年生になるまでそんな感覚でいて。ジョバとの交流やイベント運営を通して、やっと“日本語教師”という夢を見つけられました。卒業後は一般企業に就職するのですが、せっかく4年間で出合えた夢なので、こっちの道も追いかけていきたい。就職してからも、留学生のみんなとは時間を見つけて関わっていきたいなと思っています。

PROFILE
竹原 このみ
Takehara Konomi
外国語学部英米学科4年